アメリカ、サンフランシスコ。街自体が美術館のような場所で、ヒッピー文化を育んだ背景を感じる。
サンフランシスコは、ロサンゼルスに比べると美術館の類が少ないような気がする。ロサンゼルスのように広大ではないというのもあるが、「サンフランシスコに美術鑑賞に来ました」というのはないような気がする。そもそも、今となっては土地も高いので、ギャラリーを出すのも困難というのもあるだろう。あるいは、もともとカウンターカルチャーの発祥地でもあり、また、美しい景観も考えると、街自体が美術館という見方ができることも関係しているのかもしれない。
サンフランシスコで現代美術館というと サンフランシスコ近代美術館 (SFMOMA) が思いつくが、長期に渡って閉館していたこともあり、実は、足を運んだのはつい最近の話だ。この美術館はそれなりに良かったが、都心型美術館の典型でもあり、驚きのようなものはなかった。では、サンフランシスコの美術館はと言うと、このデ・ヤング美術館が気に入った。
このデ・ヤング美術館は、サンフランシスコのゴールデンゲートパークの中にある。北に数キロ程行くとゴールデンゲートブリッジ(金門橋)、東に1キロ程行くと、ヒッピー文化の聖地であるハイト・アシュベリー(Haight Ashbury)という、ずいぶん贅沢な場所に位置している。
美術館は、広大な公園の中にある巨大な建物。向かいにある、カリフォルニア科学アカデミーも、巨大な建物だ。美術館に展示されてあるのは、現代美術館的な要素に加え、博物館的要素もある。一番印象に残ったのは、二階に展示されているFolk系の作品で、その作品の多さと珍しさに目を奪われ、同じところを何周かした。世界中の変わった彫像、仮面、オブジェを展示しており、この手のものは、他ではなかなかお目にかかれない。
美術系は、ダリなどの作品が少し展示されている程度だが、2017年に訪れた時に開催されていた企画展「The summer of Love Experience, Art, Fashion and Rock & Roll」は、60年代のカウンターカルチャーの展示で、こういう展示が行える懐の深さ、センスの良さを羨ましく思った。
尚、この建物には、展望台がある。サンフランシスコの北と西側の街並みが見られる貴重なビューポイントなので、足を運んでもらえればと思う。レセプション脇に奥へ向かう通路があり、突き当たると、そこから展望台に向かうエレベーターがあるので、見逃さないでいただきたい。
また、一階にあるセルフサービスのカフェは、地元の人が集まるリラックスできる空間だった。インテリアやデザインに拘っている訳ではないが、洒落た雰囲気が漂う素敵な空間で、地元の雰囲気を感じることができる貴重な場所だ。
2016年、2017年訪問。
基本情報
■ 名称:デ・ヤング美術館
■ 住所 : 50 Hagiwara Tea Garden Dr, San Francisco, CA 94118, USA
■ ホームページ:https://deyoung.famsf.org/
(described on Feb 10 2019)
(latest update on May 16 2020)