現代美術館
The Best 30
古い芸術はそこに描かれている絵や彫刻が、ある程度想定の範囲内のものであり「創り出すための技術が高い」ことに焦点が当てられている気がする。また、古いものになると作者が不明だったりするが「個」が明確ではないため、作品が普遍的なテーマを扱うこととなり、想定の範囲内になってしまう気がする。

現代芸術は、ときに訳がわからなかったりする。作品を見て笑ってしまったり、頭を捻ったり、納得したり、怒ったり、気分が悪くなったり、共感したりする。また、そこに今まで感じたことがない何かを発見することがあり、そのような発見があった時は、しばらくそのことについて思考する。そして、その思考が他の領域に広がり、血肉になっていく気がする。
一方、「美術館に何を求めますか?」という問いがあったとすると、私の答えは「非日常空間」になる。そこには、広大なスペースがあり、作品も含め、視覚的に満たされた空間が存在する。それは、特別に美術鑑賞するためだけに造られた空間であり、その空間に身を置くと日常から距離を置くことができる。

また、美術館では訪問者が少ないことが、非常に重要になる。いくら空間が素晴らしかったとしても、その場所が大勢の訪問者で埋まっていると、そこは「日常空間」になる。
ここでは、私が訪問した現代美術館の個人的なランキングを記載している。有名な美術館から、あまり知られていない美術館まであるが、ランキングの基準には「インパクト」が含まれる。それは、その美術館が展示していたある作品に驚愕した場合だったり、その美術館が人里離れた場所にあり「えっ、何でこんなところにあるの?」というものだったり、その美術館での人とのやりとりが印象に残っている場合だったり、展示作品ではなく美術館の建物だけに感銘を受けたようなものだったりする。そういう意味では極めて個人的なランキングであり、旅行サイトに出てくるような「口コミランキング」とは少し異なるかもしれない。
でも、美術、特に現代芸術のアーティストは、万人に評価されるために作品を造っている訳ではないはずであり、一部の人にその作品の意図を理解してもらい、あるいは喜んでもらえれば、その目的は達成されたと考えると、すべての人の意見によって構成されたランキングは、現代芸術の基本的な考え方に反するような気がする。従い、私のような一個人が、好きなように構成したランキングの方が、現代芸術が持つ世界観にマッチしているに違いない。

現代美術に興味がある方、「非日常空間」を求めている方は、記事に目を通していただき「行ってみたくなった」と感じたら、是非、足を運んでいただきたい。
ランキング

#1 : 地中美術館 (Naoshima Island, Japan)
瀬戸内海に浮かぶ芸術の島。建物に足を踏み入れ、目の前に現れる非現実空間に陶酔する。
(Feb 10 2019)(Mar 27 2022 updated)

#2 : ハンブルガー・バーンホフ美術館 (Berlin, Germany)
ドイツ、ベルリン。旧駅舎の特殊な構造に驚愕。そして、日本が生んだコンセプチュアルアートの先駆者の作品だけが展示された秀逸の空間に酔いしれる。
(Feb 10 2019)(Mar 14 2019 updated)

#3 : イビサ現代美術館 (Ibiza, Spain)
スペイン、イビサ島。「クラブ天国」の地にある現代美術館。美的センスに溢れ、個人邸宅に足を踏み入れたのではないかと錯覚する。
(Feb 10 2019)(Mar 20 2020 updated)

#4 : プンタ・デラ・ドガーナ (Venice, Italy)
イタリア、ベニス。かつて税関として使われていた建物を、安藤忠雄が現代風に改築。煉瓦の壁とコンテンポラリー作品の調和に感嘆する。
(Feb 10 2019)(Mar 29 2020 updated)

#5 : ベネッセハウス (Naoshima Island, Japan)
瀬戸内海に浮かぶ芸術の島。美術館の併設ホテルで非現実感を満喫し、ナイトミュージアムを楽しむ。
(Feb 10 2019)(Apr 29 2022 updated)

#6 : 江之浦測候所 (Odawara, Japan)
小田原郊外、おそらく美術館だが美術館には見えない敷地で、新しい形の現代芸術を体感する。
(Feb 10 2019)(Apr 12 2020 updated)

#7 : フォートワース現代美術館 (Fortworth, Texas, USA)
アメリカ、テキサス州フォートワース。安藤忠雄の真骨頂、コンクリート剥き出しの建造物と、作品レベルの高さに感心する。
(Jul 26 2020)

#8 : ミロ美術館 (Barcelona, Spain)
スペイン、バルセロナ。観光客で溢れるこの街には珍しく比較的人が少ない場所で、ミロの作品だけが展示された贅沢な空間に身を置く。
(Feb 10 2019)(Apr 18 2020 updated)

#9 : コロンバ美術館 (Koln, Germany)
ドイツ、ケルン。白い天井、白い壁、白い床で統一された空間で、重厚な作品群に感嘆する。
(Feb 10 2019)(Apr 29 2020 updated)

#10 : ベラルド現代美術館 (Lisbon, Portugal)
ポルトガル、リスボン。欧州西の果て、現代美術の教科書的な美術館に出会えたことに驚く。
(Feb 10 2019)(May 1 2020 updated)

#11 : カナダ国立美術館 (Ottawa, Canada)
カナダ東部、オタワ。厳冬の地で、モダンかつ巨大な美術館で、美術館における空間の重要性を認識する。
(Feb 10 2019)(May 2 2020 updated)

#12 : サフナサフニド フォーク & アウトサイダー美術館
(Akureyri, Iceland)
アイスランド北部、アクエイリ。辺境の地で、個人経営による美術館のお手本のような場所が存在することに驚愕する。
(Feb 10 2019)(May 3 2020 updated)

#13 : リッスン・ギャラリー (London, UK)
イギリス、ロンドン。ギャラリーというより小さな美術館とも言える場所で、先進的な作品のエネルギーを感じる。
(Feb 10 2019)(May 4 2020 updated)

#14 : ゲッフェン・コンテンポラリー (Los Angeles, CA, USA)
アメリカ、ロサンゼルス。カリフォルニアの空気の中で、現代芸術の楽しさ、難解さ、面白さに触れる。
(Feb 10 2019)(May 5 2020 updated)

#15 : グッゲンハイム・ビルバオ美術館 (Bilbao, Spain)
スペイン、バスク地方、ビルバオ。美術館が町興しに貢献できることを証明した場所。建物の異質性に触れ、館内の非日常空間を体感する。
(Feb 23 2020)

#16 : ダリ劇場美術館 (Figueres, Spain)
スペイン、バルセロナ郊外、フィゲレス。非現実空間を表現するダリの作品とダリの育った場所の相関を探る。
(Feb 10 2019)(May 10 2020 updated)

#17 : デ・ヤング美術館 (San Francisco, CA, USA)
アメリカ、サンフランシスコ。街自体が美術館のような場所で、ヒッピー文化を育んだ背景を感じる。
(Feb 10 2019)(May 16 2020 updated)

#18 : メキシコ近代美術館 (Mexico City, Mexico)
メキシコシティー。ミュージアム都市で、色鮮やかな作品に囲まれ、メキシコ芸術の底力を感じる。
(Jul 24 2021)

#19 : ストックホルム近代美術館 (Stockholm, Sweden)
スウェーデン、ストックホルム。北欧のデザイン王国で、思いがけない作品を見付け驚愕する。
(Feb 10 2019)(Feb 23 2023 updated)

#20: ニテロイ現代美術館 (Niteroi, Brazil)
ブラジル、ニテロイ。UFOマニアが設計したのではないかと思わせる特殊建築物を目にし、思わず驚きの声が出てしまう。
(Jan 31 2021)

#21 : ニューヨーク近代美術館 (New York City, USA)
アメリカ、ニューヨークシティー。世界最高峰の近代美術館で、初めて、熱量を発する作品に出会う。
(Feb 10 2019)(Jun 6 2020 updated)

#22 : ロサンゼルスカウンティー美術館 (Los Angeles, USA)
アメリカ、ロサンゼルス。西海岸最大の美術館で多彩な作品に出会う。
(Feb 10 2019)(June 13 2020 updated)

#23 : 東京国立近代美術館 (Tokyo, Japan)
東京。ゆったりした静かな空間で、日本の近代・現代美術に触れる。
(Feb 10 2019)(Jun 20 2020 updated)

#24 : ラテンアメリカ芸術美術館 (Buenos Aires, Argentina)
アルゼンチン、ブエノスアイレス。欧州のパリと呼ばれる美しい街で、南米のベスト美術館を探し当て、ラテンアメリカ芸術のエネルギーを感じる。
(Sep 26 2021)

#25 : ニース近代・現代美術館 (Nice, France)
フランス、ニース。ニースの海の色と、インターナショナル・クライン・ブルーを重ね合わせる。
(Feb 10 2019)

#26 : 中村キースへリング美術館 (Yamanashi, Japan)
山梨、キースヘリング専門美術館。ストリートアート先駆者の作品を見ながら、80年代を感じる。
(Feb 10 2019)(Aug 23 2020)

#27 : ブラントン美術館 (Austin, Texas, USA)
アメリカ、テキサス州オースティン。充実した中南米の作品を鑑賞後、テキサスの人々のフレンドリーさに触れる光景に出会う。
(Apr 25 2021)

#28 : バンコク現代美術館 (Bangkok, Thailand)
タイ、バンコク郊外。モダン建築の中に展示される仏教をベースにした作品の数々に興味を覚える。
(Nov 23 2019)

#29 : テルアビブ美術館 (Tel Aviv, Israel)
イスラエル、テルアビブ。迷路のような建物の中を彷徨い、自分がどこにいるのか分からなくなり、この状況をイスラエルが抱える複雑な歴史と重ね合わせる。
(Sep 27 2020)

#30 : ポートランド美術館 (Portland, OR, USA)
オレゴン州、ポートランド。現代アートスペースのセンスの良さに驚愕し、リベラルな環境都市の影響を推察する。
(Nov 27 2021)
次点

ジョーダン・シュニッツァー美術館 (Portland, OR, USA)
オレゴン州、ユージン。大学付属の美術館で、センスの良い作品が並ぶ光景に遭遇し、これはヒッピー文化が残る街の影響なのかどうかを考える。
(Jan 9 2023)

十和田市現代美術館(Towada, Aomori, Japan)
青森県、十和田市。ステレオタイプの美術館建築の概念を覆す館内を巡り、コンテンポラリーアートの楽しさに触れる。
(Mar 5 2023)
その他

河原温 日付絵画(Date Painting)
日本が生んだコンセプチャルアートの先駆者、河原温の日付絵画を前にし、自分の過去の記憶に思いを巡らせる。
(Mar 21 2023)
(described on Feb 10 2019)
(latest update on Mar 21 2023)