ロック系ライブハウス

ロック系ライブハウス
The Best 14

もし、「ライブハウス に期待することは?」という問いを投げかけられた時、私は「非日常と文化の体感」と答えるだろう。ライブハウスは文字通り音楽を演奏する場所であるが、音楽を聞くだけではなく、そこにある雰囲気、匂い、人、文化、歴史を見に行くのだと思う。

この点については、ある人と議論になったことがある。「ライブハウスは、そこで演じるアーティストを見に行くのですよね。知らない人の音楽を聞きに行くというのはよくわかりません」と言われたが、アーティスト以外の何かを求めているのだと思う。

Sunset Strip Rock'n Roll

ロック系ライブハウスに行くときは、「演奏者が誰か」というのはあまり気にしなかったりする。少なくとも、ジャンルがロック系であればいいという感じだ。ここでいうのは、街角にある最大でも数百人レベルのキャパの場所だ。

こういう小規模ロック系ライブハウスは、たいてい独特な何かがあったりする。異様に汚かったり、異常にスノッブな感じだったり、カクテルウェイトレスの女性が抜群に奇麗だったり、カッとんでいたり、演奏が下手糞で嫌になったり、バンドが異常な高さの熱量を発していたり、受付の女性が抜群に明るかったり、泡のないビールしか出てこなかったり、店内の端の方で、きつい臭いのする煙を撒き散らしていたり、演奏を見ていて不快になって怒りが込みあげてきたり、トイレが際立って汚く身の危険を感じたり、運ばれてきたジントニックが水みたいだったり、クアーズを頼んだがバドワイザーが出てきたり、前の客に振り向かれて顔を見られ「あっ、英語が喋れない奴だ」と言われたり、店の前で立っていて煙草を勧められたり、バンドの歴史について長々と語られたり、日本人に声を掛けられたりする。

CBGB

たぶん、こういう一つ一つの事象が、非日常であり、そこに文化を感じ楽しみを見出し、また、そのような何かに遭遇するために足を運ぶのだと思う。東京にあるライブハウスも何カ所か足を運んだが、ここでは世界にあるロック系ライブハウスで個人的なランキングを作成した。ランキングの上位は閉店しているライブハウスが占めているが、過去の思い出と、それを教訓にし、新たなロック系ライブハウスを作っていただきたいという意味も踏まえ、掲載している。了解いただきたい。

ランキング

#1 : アルズバー  (Los Angeles, CA, USA)   <閉店>
ロサンゼルスダウンタウン。危険な臭いのする場所で、ロサンゼルスのアンダーグラウンドカルチャーを感じる。
(Dec 30 2018) (Jan 18 2020 updated)

#2 : アンタイクラブ (Los Angeles, CA, USA)  <閉店>

ロサンゼルスの住宅街、普通の一軒家にしか見えない場所で、成功することを夢見て演奏するバンドの熱量に驚愕する。
(Dec 30 2018) (Jan 18 2020 updated)

#3 : マーキークラブ (London, UK)  <閉店>
ロンドン中心街の地下、警備員との格闘の末、ダイブする観客を見ながら、ロック文化の神髄を体感する。
(Dec 30 2018)​ (Jan 24 2020 updated)​

#4 : CBGB (New York City, NY, USA)  <閉店>
ニューヨーク、危うい臭いがするローワーイーストサイド。穴倉のようなクラブで、パンクを産み出した背景を探す。
(Dec 30 2018) (Jan 25 2020 updated)

#5 : ギャザリーズ (West Hollywood, CA, USA)  <閉店>
ロサンゼルス、サンセットストリップ、Van Halenを生んだ歴史あるクラブで、80年代ロックブームの終焉を感じる。
(Dec 30 2018) (Feb 1 2020 updated)

#6 : ロキシー (West Hollywood, CA, USA)
ロサンゼルス、サンセットストリップを代表するクラブで、店員、観客との交流から、煌びやかなグラムメタルの残り香を探す。
(Dec 30 2018) (Feb 1 2020 updated)

#7 : ウィスキーアゴーゴー (West Hollywood, CA, USA)
ロサンゼルス、サンセットストリップ、ゴーゴーダンスを生んだクラブが、歴史を生み続ける現場を確認する。
(Dec 30 2018) (Feb 8 2020 updated)

#8 : パープルヘイズ (Kathmandu, Nepal)
ネパール、カトマンズ、ヒッピー文化を継承する異境の地。​欧米のライブハウスでは感じることができない非日常空間で、ロック音楽に興じる。
(May 23 2020)

#9 : FM Station (Los Angeles, CA, USA)  <閉店>
ロサンゼルス、ハリウッド北部。サンセットストリップ以外のクラブで、ロサンゼルスのライブハウスの層の厚さを体感する。
(Dec 30 2018) (Feb 9 2020 updated)

#10 : アンダーワールド (London, UK)
ロンドン、マーキークラブ無き現在、ロンドンのロックシーンを牽引する場所で、ロック文化が生き続けていることを体感する。
(Dec 30 2018) (Feb 15 2020 updated) ​

#11 : トルバドール (West Hollywood, CA, USA)
ロサンゼルス、サンタモニカ通り。歴史を感じる造りのクラブで、ロックが死んでいないことを確認する。
(Dec 30 2018) (Feb 22 2020 updated)

#12 : ダンジョンヘビー&ロックバー (Rio, Brazil)
ブラジル、リオ。サンバとボサノバを産み出した音楽許容度トップクラスの地で、ロック文化が浸透していることを認識する。
(Jan 29 2022)

#13 : バイパールーム (West Hollywood, CA, USA)
ロサンゼルス、サンセットストリップ。ストリップ三大クラブの陰で生き続けてきたクラブのパワーを体感する。
(Oct 27 2019) (Feb 29 2020 updated)

#14 : クロコダイル (Seattle, WA, USA)
アメリカ北西部、シアトル。グランジブームの中心となったライブハウス。ニルバーナの曲と、どんよりした気候の連関性を考えながら、90年代を感じる。
(Oct 24 2020)

​特別記事

■ ロサンゼルスのロック系ライブハウス
アメリカ、ロサンゼルス。ロンドンと並ぶロック文化の中心地で、様々なライブハウスを巡り、ロック文化が形成された歴史を垣間見る。
(Dec 30 2018) (Jan 11 2020 updated)

■ ライブ音楽の聖地​
アメリカ、テキサス州、オースティン。200以上のライブハウスがあるライブ音楽の聖地で、箱の雰囲気と音楽の質の高さに驚愕する。
(Mar 29 2021)

(described on Dec 30 2018)
(latest update on Jan 29 2022)