リッソン・ギャラリー(London, UK)

イギリス、ロンドン。ギャラリーというより小さな美術館とも言える場所で、先進的な作品のエネルギーを感じる。

ここは、現代美術館ではなく、ギャラリーだ。ギャラリーというと、展示されているものを事前に知って行くというよりも、何となくブラっと訪れることが多いこともあり、期待外れのことが多かったりするが、このギャラリーは唯一、例外となった場所だ。ロンドンにあるギャラリーは、1967年にオープン、50年以上の歴史がある。ギャラリーの業界では、有名で、現在は、ニューヨーク、上海にも支店がある。

このリッソンギャラリーは、近くに住んでいたことがあり、5、6 回訪れたが、一度も裏切られなかった稀有なギャラリーだ。正確には、ロンドンには二か所ある。同じ通りの百五十メートル程離れた場所に位置している。一か所は外れがあったが、もう一か所は外れはなかった。

外れがなかったギャラリー(Lisson Street に面した建物)には、一階のメインフロアと、地下一階がある。コンテンポラリー芸術という意味では、斬新な、先進的な作品を意識して展示しているようだ。スペースが狭いが、このギャラリーは、個人経営の小さな美術館の範疇に入る広さであり、なかなか見応えもある。

ギャラリーに入るためには、入口にあるインターフォンを押して、中から開けてもらわないと入れないようになっていて、敷居が高そうに見えるが、すぐに開けてくれる(中から自動で開けてくれる。ビーという音がする)。時々、ギャラリーに見られるような、人が入ってくると、店の人が近くを徘徊し始める、声を掛けてくる、というようなことはないので、気にせず鑑賞できる。ギャラリーということもあり、人は少ない。この点が、ギャラリーの特筆する点だろう。スペースは狭いが、人がいないことにより、非日常空間が醸成されるのだ。

ちなみに、このギャラリーが扱っているアーティストに、Ai Wei Wei、宮島達男がいる。また、Yoko Onoも過去に展示を行ったことがある。この名前だけ見ても、このギャラリーの方向性が理解できると思う。

尚、このギャラリーがある通り沿いに、Ai Wei Weiと思われる人をモチーフとした壁画が描かれていた。バンクシーが描いたものではないかと思ったが、良く見るとバンビの名前がスタンプされていた。バンビも著名な人ではあるが、数か月後、上からペンキが塗られ消し込まれていた。

また、歩いて数分の所には、Alfies Antiques Marketという小さなアンティークショップのスペースが集まった建物があり、このあたりの雰囲気が感じられる。特に、一番上にある Roof Top Café のテラス席で、街の景観を眺めながら休憩するのがお勧め。

「ギャラリーは入りにくいなあ」と敬遠する人にとっては、ギャラリー巡りの切っ掛け作りには、このリッソンギャラリーはちょうどよい場所だと思う。是非、足を運んでいただきたい。

2011-2014年、2019年訪問。

​基本情報

​■ 名称: Lisson Gallery
■ 住所 : 27 Bell St, Marylebone, London NW1 5BY, UK
​■ ホームページ:https://www.lissongallery.com/