エーゲ海に浮かぶ島。崖の上に並ぶ白い住居と背景に見える紺碧の海に浮かぶ船を眺めながら、天国にいるような錯覚を覚える。
エーゲ海に浮かぶ島。火山が噴火したことより形成された地形で、海の中に噴火口のある島があり、その周りを外輪山の島が形成している。この島は、エーゲ海に浮かぶ島の中で、一番特殊な景観を持った場所と言えるだろう。
まず、この島には樹木が生えていない。地形が溶岩で形成されていることが関係していると理解するが、道路を走っていると、岩肌に僅かに草が生えた地形が広がり、その中に青いドーム状の屋根を持ったギリシャ正教会が点在している。そして、一番有名なのは、溶岩でできた黒茶系の崖の上に立ち並ぶ白い建物だ。島の中心であるフィラの町、北に位置するイアの町での景色が特に有名だ。
船でこの島に入ると、崖とその上に立ち並ぶ白い家々の光景に驚愕するはずだ。このような場所は見たことがないし、非現実的な空気感が充満している。
北に位置するイアは、島の中でも景観が飛び抜けている。イアにバスで到着し、バスターミナルから海岸沿いの道路に向かうと、青いドームのギリシャ正教会とその前に小さな広場がある。ここから海に面した道路は左手(東側)と右手(西側)に分かれている。右手(西側)は広告などでよく使われるギリシャ正教会の景色を中心に白い家々が並ぶ光景で有名な場所だ。この右側(西側)に続く通路は狭くて人が多いが、非日常的な景色を目にすることができる。ただ、人が多くゆったりと散策できない。
一方、広場を左手(東側)に進むと最初は通路が狭いが、その後、通路の幅も広くなりゆったり散策できる。こちらも、海側に白い家々が並ぶ美しい景色を見ることができる。海と崖に立ち並ぶ白い家々の景観を堪能するのであれば、この左手の海側のレストラン・カフェに入り、テラス席でゆったりするのがオススメだ。とにかく、広場の右側(西側)は混雑しているし、レストラン・カフェもスペースが狭く、ゆったりできる感じではなかった。
フィラの町は、イアよりも少し劣るが充分に素晴らしい景観を堪能できる。フィラで特筆するのは、海に浮かぶ火山島が目の前に見えることだろう。イアも十分素晴らしいが、個人的にはこの火山島が眼の前に見えるフィラの光景が気に入った。
また、海が非常に穏やかだ。私が訪れたのは二度とも夏だったが、崖の上から海を見ていると海が凪ぎのようになっていて、その深い青色を眺めていると吸い込まれていくような気がする。その海をゆったりと船が進んでいく光景もよいアクセントとなり、時間がゆっくりと流れていることが実感できてリラックスできる。
この島には、当然ビーチがある。レッドビーチと呼ばれる、砂が溶岩状の赤い色をした隠れ家的なビーチがあり、島の東側には広いビーチも存在する。ただ、この島は泳ぎにくる場所ではないだろう。もちろん、夏のシーズンに訪れるのであればビーチは重要かもしれないが、泳ぐのであれば少し予算を奮発して、内海の景観が見えるプール付きのホテルに宿泊するのがいいだろう。
冒頭に記載したイアとフィラの町はとにかく人気がある。ホテルが集中していることもあり人が多いので、ゆっくりしたい方は街から少し外れた場所を選んでみて欲しい。私は、南西にあるアクロティリという町に滞在した。アクロティリの町は、内海に面し遠くに崖の上に位置するフィラとイアの街を見ることができるし、町の中央はローカルの雰囲気がするこぢんまりとした所でゆったりできると思う。海側に面したホテルもあるので参考にしていただきたい。
尚、この島の足についてだが、走っている車を見ていても、マナーが悪い感じはしなかったので少し外れた場所にホテルを取る方はレンタカーがいいと思う。バスはある程度システムとして機能しているが慣れるまで少し時間が必要かもしれない。バスはルートの概要は分かるが、詳細ルートが分からないこと、ウェブで時刻表を見るとバス停ごとの時刻を記載していないようにみえたこと、またルートが行きと帰りで異なるところを通っていたので、ホテルの人に良く確認しておくことをお勧めする。ちなみに、バスも定刻から遅れるのだろうと思って油断していたりすると定刻より2-3分早く出発していたこともあったので、この点も頭の片隅に入れておいていただければと思う。
この場所は、南国の島のビーチで寛ぐ場所ではない。私は、最初この地を訪れた時、この特殊な景観に驚き、その存在が信じられなかった。人によってはメルヘンチックな場所と感じるかもしれないが、南国の綺麗な場所というよりは、崖の上に町が広がる特殊な場所という見方が適切だろう。まさしく、非日常空間であり、足を運ぶ価値のある場所だ。
2013年、2019年訪問。
基本情報
■ 名称 : サントリー二島
■ ホームページ:https://www.santorini.gr/
(described on May 29 2022)