ロサンゼルス、ハリウッド北部。サンセットストリップ以外のクラブで、ロサンゼルスのライブハウスの層の厚さを体感する。
このライブハウスは北ハリウッドにあった。足を運んだのは1996年。サンセットと ダウンタウンエリアのライブハウスを知る人にとっては、マイナーだったと思うが、ラット / Ratt の スティーブン・パーシー / Stephen Pearcy が結成した ビシャス・ディライト / Vicious Delite と言うバンドが、演奏するということで向かった場所である。
初めて聞くライブハウスだったので、期待はしていなかったが、想像以上に印象に残った場所だ。ライブハウスは大通り沿い(交差点)にあり、入場する時も、少しだけ並んだ。店内に入ると、ビリヤード台が二台並び、その脇にステージフロアが広がっている。ステージ前は立見の観客スペースになっていて、その後方に、高テーブル+高椅子が点在する形で配置されていた。
店内は、テキサスあたりをイメージさせる、総じてスマートな雰囲気。ロキシー / The Roxy と ウィスキー・ア・ゴーゴー / Whisky a Go Go は洗練された場所で緊張してしまうが、ここは、その洗練度を落として、カジュアルな雰囲気を取り入れたという感じ。新鮮だったということもあるが、心地良さという意味で印象に残った場所だ。
席に座っていると、カクテルウェイトレスの女性が、オーダーを訊きに来て応対してくれるのも良かった。ロキシー と ウィスキー・ア・ゴーゴー にもウェイトレスの女性はいるが、たいてい忙しない。この場所は空いていたこともあり、緩やかな雰囲気で応対してくれた、というのも印象に残っている。
ステージは低く、ステージ前に立たれると、後方のテーブル席からは見辛かった。このライブハウスで印象に残ったのは、演奏の間に、ステージの天井から大型スクリーンが下りてきて、そこに映像が流れるというものだ。今でこそ、このような仕組みも普通だが、当時は珍しかった。
私が訪れた時に演奏したバンドは4つ。最初が、メロディアスロック、二番目がメキシコ系メンバーによるロック、三番目がファンキーロック、最後のビシャス・ディライト の演奏が始まったのが12時半頃。四つのバンドが出てくるのは、90年代は、サンセットストリップにあるクラブも含め、普通であったが、今は、あまり見受けられない。90年代は、まだまだ、ロック音楽に勢いがあり、多くのバンドが存在していたことも関係しているのだろう。
サンセットストリップと違い、観客の年齢層は若干高めで、30代がメインという感じだった。ちなみに入場料は5ドルだった。5ドルで、スティーブン・パーシーを含めた4つのバンドの演奏を見ることができれば、文句は言えないだろう。このライブハウスは既に閉店している。4つバンドが入って入場料5ドルで、おそらく入場者は100人。全員が10ドル分のドリンクを飲んだとして、収入は(5+10)x100=1500ドル。バンドの収入はスズメの涙程度。まあ、閉店に追い込まれても止むなしということなのかもしれない。
年齢層が若干上で、雰囲気もいい感じ、いいコンセプトの店だった。2018年に跡地を訪れたが、建物は取り壊されていて、新しい建物を建設中だった。
1996年訪問
基本情報
■ 名称:FM Station
■ 住所 : Lankershim and Victory, Los Angeles, California, USA
■ 演奏したミュージシャン:Night Ranger, Bangles
(described on Dec 30 2018)
(latest updaate on Feb 9 2020)