ポートランド美術館 (Portland, Oregon, USA)

オレゴン州、ポートランド。現代アートスペースのセンスの良さに驚愕し、リベラルな環境都市の影響を推察する。

アメリカ、オレゴン州、ポートランドにある美術館。現在の場所に美術館が設立されたのは1932年と歴史は古く、その後、増改築が行われている。美術館の形態としては博物館的要素もあるが、コンテンポラリー系アートが充実し、目を引いた。

まず、この美術館の建物についてだが、本館と別館があり地下でつながっている。本館の方が広いが、現代アート好きの人は、とにかく別館に足を運んで欲しい。この別館は「Modern & Contemporary Wing」という名称で、地下一階から四階まである。各フロアは狭いが、階段とスペースを上手く生かした視覚的にも素晴らしい構造になっていて、よく考えて設計されたことが感じ取れる。スペースが限られた場所で、現代アートを魅せる空間を創り出すためのお手本となるような場所だ。

この「Modern & Contemporary Wing」の3階と4階は、抽象画、彫刻系、映像系のコンテンポラリー作品だけを展示。また、照明、展示方法のセンスが良く、何回か同じ場所を往復した。展示している作品のバランスが素晴らしく心地良い。名の知れた作家・作品は、アンディーウォーホールの「Liz」があり、それ以外では、デビッド・ホックニー(David Hockney)の2018年の作品があった。デビッド・ホックニーはロサンゼルス、ハリウッドヒルズに居住、その後、2023年現在、フランス、ノルマンディーを拠点にまだまだ活躍中だ。

また、3階と4階には映像作品を鑑賞する専用スペースがあり、四人程度が座れる革張りソファーが四つ並び、贅沢なスペースを確保していた。興味を誘う映像作品が流れていたら間違いなく長居してしまう空間だ。

本館は博物館的要素の濃い展示エリアだが、陶器を展示しているエリアが素晴らしかった。これは、古い陶器を展示しているのではなく、コンテンポラリー要素の強い陶器作品を現代風にアレンジされた空間に展示している点で刺激的、かつ、心地良い空間だった。

ポートランドは、街を歩いていると、店やレストランのセンスの良さに驚かされることがある。このあたりのセンスと、リベラルな環境都市という街の気質が、コンテンポラリー系作品のセンスに投影されているのではないかという気がする。

2019年訪問

​基本情報

■ 名称 : ポートランド美術館
■ 住所 : 1219 SW Park Ave, Portland, OR, USA
​■ ホームページ:https://portlandartmuseum.org/

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