テルアビブ美術館 (Tel Aviv, Israel)

イスラエル、テルアビブ。迷路のような建物の中を彷徨い、自分がどこにいるのか分からなくなり、この状況をイスラエルが抱える複雑な歴史と重ね合わせる。

イスラエル、テルアビブにある美術館。公共美術館だが、欧州系の古い美術作品だけを展示している訳ではなく、近代から現代系の作品を展示している。イスラエルというと、イスラエルに向かうフライトだけ乗機空港のゲートが特別で、セキュリティーチェックがあったり、入国審査で多くの質問を受けたり、ショッピングモール等の人が集まるところは、必ずセキュリティーチェックがあり、物騒な印象を持ってしまう。案の定、この美術館も入口にセキュリティーゲートがあり、荷物チェックがあった。「当然だよなあ」、と思いながら中に入る。

まず驚かされるのが、建物の構造がよく分からないこと。複雑でどこに何があるのか分からない。パンフレットのようなものはあるが、フロアマップの記載はない。所々にインフォメーションの表示があることと、展示室内に多くの係員が座っていたが、館内の案内をすることを想定して人員配置しているのではないかと思ってしまう。個人的には、良い美術館の一つの条件として、「建物内が複雑で楽しめる」があるが、この条件を満たしている。

館内の構造は、展示室が散らばっていて、その展示室の間を「斜めの廊下で接続してみました」という感じだろうか、よく設計したものだと思う。設計は、スコット・コーエンというアメリカ人ということだ。この建築物を見るだけでも足を運ぶ価値があると思う。作品は、ピカソ、ミロ、ダリなどの作品もあり、ローカルの作品もある。また、一番広いスペースには、リヒテンシュタインが贈答した巨大な絵画が掲げられている。

地下にはカフェがある。長いエスカレーターを下った、広い空間に位置するそのカフェの脇の展示室で、杉本博司展が行われていた。杉本博司の、著名な作品のほとんどすべて、「Seascapes」「Theaters」「Dioramas」「Portraits」「Architecture」が展示されていた。杉本博司の主要作品のほとんどが集まるこの展示をイスラエルの地で見るとは思わなかった。

また、特別展としてエルサレムの過去と現在に関する展示が行われていた。エルサレムという宗教の聖地が混在した特別な地を持つイスラエルで行われているだけに説得力が感じられた。

訪問したのはイスラエルの休日である金曜日の前日、木曜日の夜ということも関係していたのかもしれないが、来場者が多く、イスラエルでも現代美術に理解がある人が多いことに少し驚かされた。ちなみに、観光客が大勢来ている感じではなかった。

2019年訪問

​基本情報

■ 名称 : Tel Aviv Museum of Art
■ 住所 : The Golda Meir Cultural and Art Center, Sderot Sha’ul HaMelech 27, Tel Aviv-Yafo, Israel
​■ ホームページ:https://www.tamuseum.org.il/en/