ブラジル、ニテロイ。未確認飛行物体マニアが設計したのではないかと思わせる特殊建築物を目にし、思わず驚きの声が出てしまう。
ブラジル、リオ・デ・ジャネイロから海を挟んだ向かいのニテロイという街にある現代美術館。美術館の建物が円盤の形状をしていることで有名だ。この美術館は、とにかく建物のインパクトが強い。建物が目に入ると「おっ」と唸ってしまう。噂で聞いてはいたが、事前情報があるにも関わらず、最初に視界に入った時のインパクトは強烈だった。
この建物の設計者はUFO系のエリアに何らかの拘りを持っていたに違いないと思ったが、設計者であるオスカー・二―マイヤーは「花をイメージした」ということらしい。オスカー・二―マイヤーは、ニューヨークにある国際連合本部ビルや近代都市として有名なブラジルの首都ブラジリアの建築物を手がけた人だ。
このニテロイ現代美術館は、海に面した高台に位置している。円盤状の建物は一本の支柱の上に立ち、空中にある入口に向かって曲線の通路が掛けられている。この通路を入口に向かって歩くと、自分がいる場所が分からなくなる感覚に襲われた。この建物の形状を発想し設計することは可能だと思うが、それを現実に建ててしまうのが凄いところなのだと思う。
館内は三層構造になっている。建物は宙に浮いているが、一番下を一階とすると三階まで存在する。二階の中央にスペースがあり展示物が並んでいる。また、二階は外周が360度ガラス張りになっていて外景を楽しむことができる。海側からは遠く対岸にあるリオ・デ・ジャネイロの街が見える。三階は二階中央スペースの吹き抜け部分の外周がバルコニーのようになっており、そこに作品が並んでいる。また、地上の美術館の支柱に向かって右手の階段を下りると、レストランがあり海の景色を眺めながら寛ぐことができる。
展示作品は、地元のアーティストの現代アートが主体のようだ。絵画は中南米特有のカラフルな色遣いを見ることができるが、作品自体はあまり期待しない方がいいだろう。この美術館の場合、美術館の建物が作品なので、美術館自体を楽しめればいいと思う。
世界には変わった形状の美術館があるが、個人的に驚いた美術館を三つ挙げるとすると、スペインのグッゲンハイム・ビルバオ美術館、メキシコのソウヤマ美術館、そして、このニテロイ現代美術館になる。ニテロイ現代美術館は、これらの三つの中で一番アクセスしにくい場所にあるが、現代美術館・建築マニアにとっては、是非とも足を運んでおくべき場所と言えるだろう。
尚、この美術館へはリオ・デ・ジャネイロから入ることになるが非常に不便だ。フェリーとバスでも行けるようだが、タクシーで行くのが無難だろう。リオ・デ・ジャネイロはお世辞にも安全な場所とは言えない。アジア旅行などでそれなりに経験を積んでいる人でも、南米が初めてという方はタクシーで行くことをお勧めする。タクシーで行くと、途中、リオ・デ・ジャネイロとニテロイ間の海上を結ぶ橋を渡る。10㎞程度あるその橋は、遠くから見るとアメリカ、フロリダ州のマイアミとキーウェストの間にあるセブンマイルブリッジのようにも見えてしまう。これも、また、なかなかいい景色だ。
2019年訪問。
基本情報
■ 名称:ニテロイ現代美術館
■ 住所 : Mirante da Boa Viagem, s/nº – Boa Viagem, Niterói – RJ, 24210-390
■ ホームページ:http://culturaniteroi.com.br/macniteroi/
(described on Jan 31 2021)