コロンバ美術館 (Koln, Germany)

ドイツ、ケルン。白い天井、白い壁、白い床で統一された空間で、重厚な作品群に感嘆する。

コロンバ美術館は、ドイツ、ケルンにある総合美術館。ケルンで見るべきものというと、真っ先に頭に浮かぶのがケルン大聖堂だ。教会の類は色々目にしてきたが、「不気味」という言葉がしっくりくる教会で、空に向かって突き刺すような尖った形状物と、全体が黒っぽい色で覆われた建築物は、威厳を保つと同時に、不気味さを感じる。形容が不適切かもしれないが、個人的には、「悪魔的」な要素を感じてしまう。

このコルンバ美術館は、ケルンの中央駅から少し歩いた場所にある。事前情報なしで訪れたが、期待以上で驚かされた美術館だ。街中にある都市型美術館と言えるが、意外と大きな建物。白を基調とした外観は、普通のオフィスビルにも見えるが、建物の中に入ると、センスの良さに驚かされる。

内装は、基本はコンクリートの打ちっぱなしで、どことなく、日本の直島にある地中美術館を彷彿とさせる。上階に昇っていく階段だけとっても、センスの良さを感じる。途中、ラウンジのような場所があり、このスペースの雰囲気&センスの良さにも驚かされた。このラウンジの誰もいない贅沢な空間で椅子に腰を下ろし、リラックスするのがいいと思う。

展示されている作品自体は、おそらく無名アーティストのものがほとんどなのだろうが、ゆったりとしたスペースに、限られた数の作品を展示していたこともあり、高尚に映った。おそらく、白い壁、床、天井で覆われた、非日常感に満たされた空間と、その展示方法の上手さによるものだろう。

一番上の階には、コンテンポラリー系の作品が展示されていたが、もともと、この美術館の場所が教会だったことも関係しているためか、コンテンポラリー系にも関わらず、重みを感じる作品が多く、あまり、他では見かけない作品群だった。

この美術館を訪れたのは、日曜日だったが、ケルンの中央駅から歩いてくる途中は、もの凄い人通りで、東京の渋谷あたりの人混みを思い出したが、この美術館の中は、限られた数の訪問者だった。このギャップも、この美術館にインパクトを感じた要因かもしれない。

ケルンにはルートヴィッヒ美術館という現代系美術館もある。この美術館はピカソの部屋があり、多くのウォーホール作品が並んでいたが、奇抜さ、斬新さの観点では、コロンバ美術館の方がレベルが上と言えるだろう。

このコルンバ美術館を訪れて改めて感じたのは、美術館で非日常空間を創り出す方法論として、「白い壁」「白い床」「白い天井」がキーポイントであること。また、展示室には、敢えて、「限られた数の作品だけを展示する」ことが重要であることも再認識させられた。ケルンを訪れた際には、ルートヴィッヒ美術館だけでなく、このコロンバ美術館も忘れずに訪れていただきたい。

2013年訪問。

基本情報

■ 名称:Kolumba Museum
■ 住所 : Kolumbastraße 4, 50667 Köln, Germany
​■ ホームページ:
https://www.kolumba.de/?language=eng