カリフォルニアとネバダの州境、15号線脇に広がるドライレイクの眩しさと、遠くに見える謎のタワーの光に幻惑される。
カリフォルニア州東部、ネバダ州との州境。インターステート15沿いに広がるドライレイク。乾いた土漠地帯に位置するこのドライレイクは、特殊な空間を体感できる絵になる場所だ。周辺は何もなく、乾いた湖面に足を踏み入れると、地球外空間にいるのではないかと錯覚してしまう。
このイバンパ・ドライレイクの近くには、プリムバレー(Primm Valley) というカジノタウンがある。まさしくカジノホテルだけが存在する場所であり、2019年現在、三つのカジノホテルが営業している。ウィスキーピーツ(Whisky Petes)、バッファロービルス(Buffalo Bills)、プリムバレーリゾート(Primm Valley Resort)。バッファロービルズはローラーコースターがあることで有名で、かつては人の歓声が聞こえたが、最近は珍しさもなくなったのか、訪れる人も限られているようだ。このカジノホテルがある場所はネバダ州で、少し南下して州境を越えカリフォルニア州に入ったところにイバンパ・ドライレイクが広がっている。
2001年にロサンゼルスからラスベガスへ車で向かった途中、インターステート15から見える広大なドライレイクに引き寄せられるように、インターステートを下り、ドライレイクを車で走り廻った。ドライレイクの中に車を止め、エンジンを切ると、そこは無音の世界。周辺を見渡すと、遠くにプリムバレーのホテル群とインターステート15が見える。遠くに道路を走る車の動きが微かに確認できるが、音がしない幻想的な光景を目にすることができる。
インターステート15の出口は、Exit291、Yates Well Roadになる。2001年に訪れた時は、インターステートの北側に広がるドライレイクに車で入ることができたが、2018年に訪れた時は、緑で覆われており、道路を徘徊してもドライレイクに入る場所を見つけることができなかった。デスバレー国立公園のバッドウォーターにあるドライレイク、ベイカーの町の近くにあるソーダレイクでも気付いたことだが、ここ二十年程で、ドライレイクの範囲が小さくなっている傾向があり、このエリアで気候の変化があったのかもしれない。
尚、Exit291の南側は、2001年、2018年ともに、ドライレイク越しに柵が設置されていて中に立ち入ることはできなかった。確認したところ、ドライレイクに入るためにはランドセイリング目的に限定されるようで許可が必要ということだ。ドライレイクへの入口はプリムバレー側になるらしい。2018年に訪れた時は、プリムバレー側からレイクベッドにアクセスできないか徘徊したが見つからなかったので、おそらく許可を得た時点で、ドライレイクに入る場所がオープンになるのだと推測する。
もう一つ、この場所が気に入っている理由として、一直線に続く道路が挙げられる。プリムバレーから南西に下っていく場所になるが、この場所も広大な土地を実感できる貴重な場所だ。運転しながら前方に続く一直線の道路とその周辺の光景を目にすると、頭の中が空白になり、まさしく何も考えることができない「無」の状態に没入できる。
道路の一番先を見ると、道路が地平線の奥に吸い込まれていくのが分かるが、その一点を凝視していると、自分がいる場所が分からなくなる。また、道路が一直線であるためハンドル操作が不要であること、また、周辺景色が変わらないため、時速120-30㎞で走っていても、その速さを実感できず、不思議な感覚に襲われる。
車のクルーズコントロールをオンにし、時速を80マイル(約130㎞)に固定、右足はアクセルとブレーキから離し、前方に見える地平線に続く道路だけに視線を置き、時々、左右に広がるイバンパ・ドライレイクを眺め、再び、前方に視線を送る。この一連の行為は、思考回路を「無」にする体感したことがないプロセスだ。地図で確認すると、この一直線の距離は15㎞程度なのだが、いつ来てもこの体感したことがないプロセスに圧倒される。
さて、この場所だが、2014年に太陽光発電プラントができて様変わりしている。インターステート15の北側になるが、ソーラー発電を司る鉄塔が荒野の中に立ち、その鉄塔部分に、周辺に置かれた反射板が集めた太陽光の焦点が集中するようになっている。その太陽光が集中する焦点は、視線を置くことができないほど眩しく、この不毛の地にできた特殊な施設に驚かされた。この太陽光発電プラント、近くまで行くと分かるが、四、五十メートルの高さの鉄塔が建ち、その鉄塔を取り囲むように反射板が配置された造りになっている。その反射板の向きを自動制御で調整し、太陽光線が鉄塔の上部分に集まる仕組みだ。
この場所は、インターステート15沿いに存在する場所であり、ロサンゼルスからラスベガスへ車で入る際に是非立ち寄ってもらい、広大な風景を体感していただければと思う。
2001年、2002年、2018年他複数回訪問
基本情報
■ 名称 : イバンパ・ドライレイク
■ ホームページ: https://en.wikipedia.org/wiki/Ivanpah_Lake
(described on Apr 22 2023)