ドイツ、デュッセルドルフにある近代と現代を分けた二つの建物。20世紀美術館で、三大近代美術館を凌駕する質の高さに驚き、21世紀美術館で、現代美術が秘めるパワーに感心する。
デュッセルドルフにある美術館。正式名称は「Kunstsammlung Nordrhein-Westfalen K20/K21」。20世紀美術館は、1900年代の近代作品を展示、21世紀美術館は現代美術作品を展示している。ちなみに、この美術館は州立美術館。建物は分かれているが、正式名称の通り、同一美術館が運営している。
20世紀美術館
フロアはGF、1F、2F。私が訪れた時は、GFで企画展、1Fと2Fで美術館所蔵のコレクション展が行われていた。デュッセルドルフにある国立美術学校で、パウル・クレーが教鞭を取っていたこともあるのか、2Fの入口には、パウル・クレーの作品が3枚展示されていた。
中に入ると驚かされるのは、集められた作品のレベルの高さ。捨て作品が一つもない印象だった。印象に残ったのは、Max Beckmann の2枚の作品。人の内面が現れるような作品に圧倒された。展示室を廻って気づいたのは、同型の作品を並べていること。アーティストごとに加え、色使いや作風が似ている作品が並んで展示されている。
2Fの作品を見終わると最後に螺旋階段があり、1Fに続いている。このスペースは広大で、15 x 50m程度の敷地に高さ12m程度のスペース。このスペースに1900年後半にかけて活躍したアーティストの作品が並んでいた。このスペースは2Fから見下ろすのが壮観なので、鑑賞は、2F→1Fの順番をオススメする。
全体的な印象は、20世紀美術館は、一言でいうと「東京にあるアーティゾン美術館をアップグレードした美術館」。冒頭に記述の通り、捨て作品は皆無だった。1900年代の表現主義の作品の充実度は、世界三大近代美術館とされる、ポンピドゥセンター、テートモダン、ニューヨークMOMAを凌駕していると思う。
主な作家:Paul Klee, Picasso, Max Beckmann, Chirico, Dali, Mark Rothko, Gerhard Richter, Judd, Andy Warhol
尚、多くの作品で、アーティストと作品に関する説明が書かれている。ドイツ語と英語が併記されてあり、読みながら鑑賞すると新たな発見があるかもしれない。
2024年訪問
21世紀美術館
21世紀美術館は、20世紀美術館から歩いて20分ほどの場所にある。自然の池のような場所があり、その横に立った古い大きな建物。中央は天井まで吹き抜け。GFから4Fまであり、吹き抜けの周りに作品の部屋が配置されている。
作品は、2Fと3Fにあり、区分けされた部屋・スペースに、作家ごとの作品が展示されている。現代アート中心の美術館は、映像作品が多い印象があるが、私が訪れた時は、2-3程だった。どちらかというとインスタレーション系中心に見えた。
作品は、難解なものが多いように見えたがセンスの良さは理解できた。ベルリンにあるHamburger Bahnhof Museumの長い廊下の横に並んだスペースを思い出した。傾向が似ているかもしれない。知っている作家は、3Dの映像作品で見たことがあるEd Atkinsだけだったが、時間を掛けて、一つずつゆっくりと鑑賞して、作品に込められた意図を理解すると楽しいと思う。
GFにはカフェがある。壁が彩色されたいい感じの場所だったので、立ち寄っていただきたい。
2024年訪問
基本情報
■ 名称: 20世紀・21世紀美術館 / Kunstsammlung Nordrhein-Westfalen K20/K21
■ 住所:
20世紀美術館:K20 Grabbeplatz Grabbeplatz 5, 40213 Düsseldorf
21世紀美術館:K21 Ständehaus Ständehausstraße 1, 40217 Düsseldorf
■ ホームページ:https://www.kunstsammlung.de/en/
(described on Dec 22 2024)