マンハッタン、チエルシー。世界有数のアートギャラリー集積地で、名だたるギャラリーを巡り、現代アートの現在位置を知る。
ニューヨーク、マンハッタン、いわゆるNYC。アメリカの歴史、文化を凝縮した街。この街を訪れると飽きることがない。行くべきところが多いこともあるが、歩いている人々を眺めているだけでも飽きない。そういう場所だ。

さて、この記事の主題となるチェルシー・ギャラリー街だが、アメリカで一番ギャラリー数が多い。世界有数の現代アートの集積地であり、多くの著名アーティストやコレクター、美術関係者が新しい作品や才能を探しに訪れる場所だ。
ギャラリーは200を超えるという。場所はマンハッタンミッドタウンの西側、20丁目から27丁目の10番街から11番街にかけて、ビルの一階を中心に展開している。著名なギャラリーが集まっているのは、21、24、25丁目だ。

NYCのギャラリーは、60-80年代にSOHOが中心だったが、地価・家賃の高騰により90年代にこのチェルシーに移行してきている。私は80年代後半に20丁目のホステルに二週間ほど滞在したことがあるが人影も少なかった印象だ。
2000年代にチェルシーは隆盛した。その後、廃線跡を再利用して整備された高架の線状公園「ハイライン」が開業し、チェルシー・ギャラリー街を横断するようになると、さらに人が集まるようになった。現在はNYCの地価・家賃がさらに高騰していることもあり減少傾向にあるように見えるが、それでも全米最大のギャラリー街という地位は変わらないようだ。


このあたりはギャラリーが多いのでどこに行くべきか迷うと思う。基本は歩き回り気になったところに入れば良いが、ツアーもあるので参加してみていただきたい。私は次のツアーに参加した。2時間で5ヶ所のギャラリーを廻り紹介してくれるというものだった。以下ではツアーの内容を紹介するとともに、最後に個人的に気になっていたギャラリーについても触れたい。
ツアーガイドの方は、30代に見える女性アーティストでエルサレム出身の方だった。参加者は私たちだけだったため、実質プライベートツアー。5ヶ所訪れたがいずれも現代アート系。5月の金曜日ということも関係していたのか、どのギャラリーにも訪問者の姿があった。一か所はちょうど展示会のオープニングだったようで大混雑だった。
最後に写真を展示しているギャラリーに入ったが、ガイドの方に「ビデオが流行っているのでは?」という質問をしたところ、「写真はまだまだ続いていますよ、なぜなら、ビデオは販売が難しいからです」という回答だった。尚、チェルシーのギャラリーの増減については何とも言えない状況で、最近はチェルシーからトライベッカに移動しているギャラリーも見られるということだった。



ツアーで訪れたギャラリーや、その後周辺を歩いて立ち寄ったギャラリーを通じて受けた印象は、コンテンポラリーアートが中心で、風景、人物、宗教をテーマにした作品は、ほとんど目に入らなかったことだろう。また、2006年に初めて訪れた際に気に入っていたギャラリーは、なくなっていたので、競争は厳しいのだと想像する。
最後に基本的な情報を付け加えておく。ギャラリーは無料、また訪れたギャラリーはどこも写真撮影可能だった。ただし、普通のカメラで撮影をしたら係員にスマホで撮るように注意されたことを付け加えておく。
ツアーで訪れたギャラリーと展示作家
・KASMIN : 509 West 27th Street / vanessa german
・Gagosian : 555 West 24th Street / Willem de Kooning Endless Painting
・SUSAN INGLETT GALLERY / 522 West 24th Street / HOPE GANGLOFF
・Hauser & Wirth : 542 West 22nd Street / William Kentridge
・JACK SHAINMAN Gallery:513 West 20th Street / Malick Sidibé: Regardez-moi



他のギャラリー
以上が、ギャラリーツアーで訪れたリストだが、個人的に知っているギャラリーがあったため中に入ったので紹介したい。
- Lisson Gallery (508 West 24th Street New York)
本拠地はロンドン。1967年に設立された歴史あるギャラリー。かつて、Yoko Onoが活動していたギャラリーとして知られる。ツアー途中で入った時も、偶然だが日本人アーティストの展示が行われていた。日本人アーティストでは、かつて宮島達男が所属アーティストだった。現在は杉本博司が所属しているようだ。
- Dia (537 W 22nd St, New York)
Dia Art Foundation (Dia)という非営利団体。複数のギャラリーをアメリカ国内で運営している。このギャラリーは本部。1974年に設立されたDiaは、インスタレーション、サイト依存型作品、ランドアートを中心にアートを展開している団体・ギャラリーで、1960年から70年代にかけて活躍したアーティスト、Joseph Beuys, Dan Flavin, Donald Judd, Agnes Martin, Andy Warholをサポートしてきている。個人的には、好きなアーティスト、作品を扱っているギャラリーだ。

正面を入った左手に展示エリアがある。一か所は、15mx15m程度の広さ。もう一つは、40mx40m程度だろうか、中央に大型スクリーンが設置され映像作品が流れていた。スクリーンの両側から鑑賞できるようになっていて、10人以上が鑑賞していた。受付前には、Diaが発行した本、写真集が並んでいる。ちなみに受付奥にももう一つ展示室があるようだったが閉まっていた。
ガイドの方の説明では、このギャラリーは非営利団体であること、寄付で成り立っているということだった。従い、作品を展示して販売するという発想にはならないということだ。ちなみに、このギャラリーには、トイレが設置されていた。
- SKARSTEDT (547 West 25th New York, NY)
ギャラリーの一部にウォーホルの作品が並んでいて驚かされる。Oxidation Painting というタイトルで、Urine and copper paint on linen とある。まだまだ、ウォーホルは影響力があるということなのかもしれない。


NYCで現代アートに触れたいのであれば、チェルシー・ギャラリー街は外せない場所だ。アートギャラリーに興味がある方は、上述のツアーも含めぜひ訪れてみていただきたい。
2016年、2026年訪問
基本情報
■ 名称 : チェルシー・ギャラリー街
■ 住所 : Chelsea, NYC, USA
■ ホームページ:上述記事内の各ギャラリーのリンクを参照下さい。
Originally published on Jul 12 2026

