カールズバッド洞窟群国立公園 (ニューメキシコ州)

荒野に現れる洞窟の穴に驚き、コウモリの鳴き声を聞きながら地底に向かうトレイルを歩くと、SFの世界に迷い込み、地底人の姿を想像している。

ニューメキシコ州南部に位置する国立公園。全米最大の鍾乳洞がある。世界自然遺産に登録されている。アメリカ国立公園の中では、特殊な部類に入る国立公園だ。

ビジターセンターでチケットを購入すると、地下までエレベーターを使うか徒歩で行くかを確認される。「予約をしていますか?」と最初に訊かれたので、ピーク時は予約が必須なのかもしれない。また、チケットに時間を書かれたので、来場者が多い場合は、すぐに入洞できない場合もあるのだろう。

この、エレベーターか徒歩かについては、エレベーターで降りる選択肢は忘れて欲しい。徒歩で地下まで歩く体験が、この国立公園の大きな部分を占めているからだ。徒歩の場合は、ナチュラルエントランスルートを歩くことになる。ビジターセンター内の受付を建物奥に向かって歩く。この国立公園の紹介展示のスペースを抜け、建物の外に出る。200m程歩くと洞窟の入り口手前に到着。レンジャーの人が待機していて、簡単な説明をしてくれる。

洞窟の穴が目の前に突然現れる。周辺は何もない荒野であり、緑の類は灌木しかない。このような場所に地下に向かって巨大な穴が開いているのを見つけ驚く。洞窟の入口手前には、夏のピーク時に、コウモリが洞窟から出てくる光景を鑑賞できるように石のベンチが囲んでいる。入口にある説明ボードを見ると、NYCのエンパイアステートビル(103階建て)の80階程度付近から地上まで歩くという説明がある。

私が入洞したのは11時ぐらいだったが、洞窟入口付近には若干数のコウモリが鳴きながら飛翔していた。急勾配のスイッチバックを60m程度降りたところにコウモリが巣くうBad Cave がある。コウモリはピーク時には40万匹いるということだが、コウモリがどこにいるのかは分からなかった。洞窟をしばらく歩き、外の光が届かなくなったあたりは、洞窟内の人工灯も落とされているように感じたが、コウモリを配慮したものかもしれない。入口からBad Caveのあたりまでは、コウモリの糞の臭いで充満している、さらに歩くと、この臭いも消え、所々に鍾乳石が見られる。トレイルは整備されており、爽快。温度も快適。暗闇の地底に向かっていくプロセスはテンションが上がる。日本では決して体験できないスケールだ。地底まで約1時間。標高差230m。

地底に付くと、Big Roomというエリアを歩く。広大なスペースに様々な鍾乳石が並んでいる。日本で見られる鍾乳洞とは違う次元のレベル。天井が高い。高さは80メートル前後といことだ。鍾乳洞というと、場所によって屈む必要があり、場合によってはヘルメットを着けて歩くような印象があるが、そのような場所は皆無だった。Big Roomにある一周するトレイルは、ショートカットしても30分程度歩く。すべてのルートを歩くと、1時間以上かかるとのことだ。また、地下には休憩所もありトイレも設置されている(休憩所には売店もあったが、私が訪れた時はシーズンではなかったせいかクローズしていた)。

私は二度訪問したが、いずれも5月初旬で、コウモリ飛翔のプログラムは始まっていなかった。8月頃がピークとのことだが、You Tubeの映像を見ると、是非、自分の目で確かめてみたい衝動に駆られる。

尚、ビジターセンターは、高台に位置しており、前にチワワ砂漠が広がる。この砂漠(荒野)は全米最大であり、いい眺めだ。是非、この荒野の光景も記憶に刻み込んでいただきたい。

1996年、2023年訪問

基本情報

​■ 名称: カールズバッド洞窟群国立公園
■ 住所 :  アメリカ​、ニューメキシコ州

​■ 行き方・その他
カールズバッド洞窟群国立公園は、ニューメキシコ州の最南端、ほぼテキサス州との州境に位置している。アクセスは難しい。一番近いゲートシティーはエルパソ(El Paso)で、ここから車で入ることになる。次に近いゲートシティーとしては、ニューメキシコ州の北に位置するアルバカーキ(Albuquerque)になるが、距離にして500km程度あり、日程に余裕がある人向けだろう。

尚、このカールズバッド洞窟群国立公園の近くには、ホワイトサンズ国立公園がある。この国立公園もアメリカ国立公園の中では異彩を放つ場所であり、合わせて訪れていただきたい。

・エルパソから150マイル(240㎞)、2時間半。
・アルバカーキから300マイル(480㎞)、5時間。

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