べラルド現代美術館 (Lisbon, Portugal)

ポルトガル、リスボン。欧州西の果て、現代美術の教科書的な美術館に出会えたことに驚く。

ポルトガル、リスボンにある現代美術館。ポルトガルというと、欧州の西の果て、私が知っているポルトガル人は、謙虚な人がほとんどという印象もあり、斬新さのようなものは期待していなかったが、見事に期待を裏切ってくれた美術館である。

場所はリスボンの中心。海沿いにある「発見のモニュメント」「ベレンの塔」の近くにある。海から少しだけ内側に入った場所にある石造りの建物。美術館らしくない感じもする。私は、「発見のモニュメント」「ベレンの塔」を散策してから、このべラルド現代美術館に向かったが、入口が分からず苦労した。

建物は3フロアと大きく、広大なスペースに作品が展示されている。ウォーホールから河原温まで、幅広い作品が集まっており、現代系、コンテンポラリー系作品に特化している。比率的には、絵画よりもオブジェクト系の作品が目立った。ミロ、ダリ、ピカソなど有名作家の作品も見られ、現代系美術作品に馴染みがない人が取っ掛かりを作るためには最適な美術館だ。ある意味、現代美術系の教科書的な美術館と言えるかもしれない。実は、この手の美術館は少なかったりする。欧州で言うと、ロンドンにある「テートモダン」、パリにある「ポンピドゥー美術館」あたりしか頭に浮かばない。そういう意味では、非常に貴重な美術館だ。

下記が、私が訪問した時に開催されていた企画展に展示されていたアーティストのリストだが、84アーティスト。現代美術で著名なアーティストの名前も散見されると思う。

さて、この美術館を印象付けてくれたものがある。美術館入口前の屋外スペースに展示されていた装飾だ。入口は建物の中に設けられた中央広場に面しており、赤、黄、青の布が、その広場の頭上に掲げられていた。この赤、黄、青が、真っ青な空とコントラストを形成し、この情景が目に焼き付いてしまった。

また、美術館内にあったレストランと、中央広場脇にあったカフェのセンスが秀逸で、建物、館内、作品も踏まえた総合力で非常に印象に残った。この美術館の周りには、レストランや店の類があまりないが、この美術館の建物に付属しているエリアは、リスボンの街中にあるレストランや店とは異なる雰囲気を発信していた。

美術館としては、あまり名が知られていないせいなのか、また、リスボンに現代美術という組み合わせは、想像しにくいのか、館内は空いていて、ゆったりと鑑賞できた。これはポルトガルという場所も関係しているのだと想像する。

昔、仕事をした欧州の人が、将来、老後に住みたい場所として、ポルトガルを挙げていたことを思い出す。街を歩いていると、ゆったりした空気を感じるし、人々がリラックスして生活しているのがわかる。ポルトガルは、西欧の中で、ゆったりとした空気が流れている場所で、街を歩くだけでも訪れる価値がある場所だろう。

2013年訪問。

​基本情報

■ 名称:Berardo Collection Museum (Museu Colecgao Bernardo)
■ 住所 : Praça do Império, 1449-003 Lisboa, Portugal
​■ ホームページ:
http://en.museuberardo.pt/

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