ネパール、カトマンズ、ヒッピー文化を継承する異境の地。欧米のライブハウスでは感じることができない非日常空間で、ロック音楽に興じる。
ネパール、カトマンズの繁華街にあるロック系ライブハウス。カトマンズは、類を見ない場所だ。観光客は多いが、旅慣れた人が多そうなこと、また、人が優しく、静かな人が多いということもあり、非常に居心地がいい。この場所は、世界中からヒッピーが集まる三大聖地の一つだが、その頃からなのだろう、ロック系音楽に対する理解がある場所だ。
昔は、ダルバール広場の南に繁華街があったが、今では、北にあるタメルという場所に移動している。このタメルには、商店、レストランが乱立しているが、ラウンジバーも多い。その数は10以上あるはずだ。
夜、通りを歩いていると、ライブ音楽が、そこら中から聞こえてくる。例えば、夕食を取るために少し奥まったレストランに入ると、ネパールの民族音楽のライブ演奏が行われていたり、音楽が聞こえてくるバーに入ると、地元のバンドがロックを演奏していたりする。
地元ロックバンドの演奏は、オリジナルの曲に加え、カバーを演奏していた。例えば、私が2019年に訪れた時に、あるラウンジバーで演奏していたバンドがカバーした曲は次だ。
- Van Halen : Can’t stop Loving You
- Gun’s N Roses : Knocking on the Heaven’s door
- Def Leppard : Hysteria
- Gun’s N Roses : Never Let you die
- Prince : Purple Rain
- Survivor : Eye of the Tiger
- Michael Jackson : Beat it
- Gun’s N Roses : Rocket Queen
おそらく、ひと昔前は、60-70年代の曲が演奏されていたのだろうが、時代が変わり、80年代以降にシフトしてきたのかもしれない。ちなみに、地元の若者と話をしていたら、ビートルズのことを知らなかったし、もちろん、ビートルズが、ネパールも影響を受けているインド文化に傾倒していたことも知らなかった。
さて、このパープルヘイズというライブハウスだが、箱の特異性に驚かされた。通りから中は見えないが、外から想像したのとは大きく違う。階段を上り、二階に上がると、警備員がいて、上に続く扉を開けてくれる。その階段を上ると、ステージの前に出るという造り。場内には長いテーブルが三つ、ステージと直角に並んでおり、高椅子が並んでいる。壁際には、靴を脱いで上がる座敷状のスペースがある。後方と横にバーカウンターがあり、ステージ後方にはビリヤード台が二つある。また、上階にはバルコニーがあり、ステージを眺めることができる。
ステージだが、高い位置にある。高さは1.6メートル程度。幅25メートル、奥行き5メートルという感じだ。まさに、客席からステージを見上げるという形容がしっくりくる。キャパは、席だけであれば百人程度だが、立ち見の場合には、軽く二百人は入りそうだ。このレベルのライブハウスに、このステージは見たことがない。演奏しているのはローカルバンドだったが、さぞかし気持ちがいいだろう。
カトマンズのオンシーズンはトレッキングができる10月から12月中旬ぐらいだが、私が訪れたオフシーズンは、客のほとんどが地元の人だった。平日にもかかわらず、午後10時を過ぎると、席はほとんど埋まっていた。演奏スケジュールをウェブで事前告知しているようには見えなかった。おそらく、来ている人は、音楽を聞きに来ているというよりは、友人と飲みに来ている感覚だと想像するが、ライブハウスでは体感したことがない光景だった。是非、カトマンズを訪れた際には立ち寄っていただきたい。
2019年訪問。
基本情報
■ 名称:Purple Haze Rock Bar
■ 住所 : Paryatan Marg, Kathmandu, Nepal
■ 演奏したミュージシャン:Eric Martin (ex. Mr. Big)
■ ホームページ: https://www.facebook.com/PurpleHazekathmandu/
(described on May 23 2020)