東京、南青山。敷地内に入り、通路の両側に並ぶ竹を眺めながら進む。振り返ると、蹲(ツクバイ)がある。もしかすると、これは露地をイメージしたのかもしれないと思う。
東京・南青山にある日本美術専門の美術館。現代美術館という範疇ではないが、建造物に特徴があることも踏まえ、記事として書かせていただく。この美術館は、日本美術を扱う美術館である。特に有名なのが国宝となっている尾形光琳の燕子花図屏風を所有していることだ。日本人が日本美術史を勉強する時、江戸時代のところで必ず出て来ると言っても過言ではない作品だ。

美術館としては1941年開館。第二次世界大戦終戦が1945年なので、戦前に始まった数少ない美術館の一つだ。財界人・根津嘉一郎が収集したコレクションを基礎とする私立美術館財で、日本・東洋の古美術、仏教絵画、写経、水墨画、近世絵画、中国絵画、漆工、陶磁器、日本刀などを所有している。

さて、この美術館だが、建物が素晴らしい。まず敷地に入ったところの光景が印象に残るだろう。左側に建物、壁には竹の茎が配置され、右側には竹が並んでいる。この通路が40m程続いている。これは見落とされる人が多いのだが、敷地に入ったすぐの左手には、水を貯めた蹲(ツクバイ)がある。

では、誰が設計したのだろうという考えが浮かぶのだが、答えは、隈研吾。自然の素材をうまく使う建築家だ。で、この敷地内の通路だが、話によると露地をイメージしているらしい。露地とは、茶道が行われる茶室に向かう途中の場所のことで、この路地を通り、日常を忘れてリセットするということだ。
館内は落ち着いた雰囲気。2階建て。展示室は6つ。通常は1Fにある展示室1と2で企画展が行われるようだ。2階の展示室では、茶道に関連する展示が行われることも多く、入口の露地空間とのつながりを感じる構成になっている。


どの展示室も照明が暗く落ち着く。企画展で燕子花図屏風が展示されている時は混雑することがあるようだが、比較的落ち着いて鑑賞できることが多い。
さて、この美術館にはもう一つ特徴がある。庭園があるのだ。敷地の片隅にあるようなサイズではなく、歩き廻れる広さだ。所々に美術館が所有するアイテムが展示され茶室があるのだが、東京の真ん中にあるとは思えない場所だ。池もあり、燕子花も植えられていて、4~5月頃になると燕子花図屏風のような光景を見ることができる。



尚、この庭園は、個人の趣味で作られたものなので、日本庭園とは少し違うかもしれないが、夏でも涼しく気持ちが良い場所だ。また、庭園にはNezu Caféというカフェもある。木製の家具で構成された落ち着く場所だ。時間があれば立ち寄っていただきたい。
2016年以降複数回訪問
基本情報
■ 名称:根津美術館
■ 住所 : 東京都港区南青山6丁目5−1
■ ホームページ:https://www.nezu-muse.or.jp/
■ その他
・展示室内の写真撮影は禁止でした。ただし、展示室外の共有エリア、館外の庭園は写真撮影可能です。
Originally published on May 24 2026

