ニューヨーク、マンハッタン。70年前に建てられたとは思えない斬新な建物に入り、地上フロアから天井を見上げ、個室トイレに入る。
ニューヨーク、マンハッタン、アッパーイーストにある美術館。螺旋状の建築で知られる、ニューヨークを代表する美術館の一つだ。5th Avenueを挟んだ反対側はセントラルパーク、5ブロック程南にはメトロポリタン美術館がある。

現在の建物ができたのは1959年ということで、既に70年近くが経過している。美術館は、建物の形状に特徴がある場合が多いが、この美術館の建物は、時間の経過に関わらず、現在でもインパクト充分だ。白い円柱の形状の建物は、上に向かって少し末広がりになっている、外観から特異な形状をしていることは想像できるが、建物の中に入ると、さらに驚かされることとなる。

一階ロビーから上を見上げる。天井まで吹き抜け。その吹き抜けの周りを螺旋状に通路が旋回しているという構造だ。エレベーターで一番上の8階まで行く。そこから1階まで、下り坂のスロープが螺旋状に続いている。この螺旋状の階段に沿って壁際に作品を展示するスペースが存在する。


建物は全体で5周ほどしているように見える。2025年に訪れた際は、スロープ部分が企画展会場となっており、中央の吹き抜け空間には植物が吊り下げられていた。螺旋階段のところだが、壁に作品が展示されるというよりは、窪み、区画が形成されている。横5m程度の区画で仕切られているのだ。あとは、3階と5階あたりの二か所に、奥まで広がった区画があり、グッゲンハイムのコレクションが展示されていた。作品は、近代・現代両方を扱っているが、MOMAに比べると、より現代美術寄りの展示構成に感じられた。


Caféは2階付近にある。ただ、この美術館は螺旋状の構造のため、通常の「階」の感覚が曖昧になる。
興味深かったのは、各所に配置された個室トイレだ。一人用のユニセックス仕様で、内部は驚くほどコンパクト。便座の前方には柱が迫っており、建築上の制約をそのまま空間に押し込めたような構造になっていた。2016年に訪れた際には、このトイレ空間に、マルセル・デュシャン/Marcel Duchamp の「泉」を想起させる、18金製の実際に使用可能な便器作品が展示されていた。グッゲンハイムでは、展示作品だけでなく、建築や設備そのものまで含めて、美術体験の一部になっているように感じられる。


尚、グッゲンハイム美術館は、イタリアベニスとスペインビルバオに分館がある。いずれも素晴らしい美術館だ。館内に展示されていた写真にはアブダビの記述があるが、本記事を記載した時点では、開館していない。

また、このグッゲンハイムニューヨークは、日本のコンセプチャルアートの先駆者とも言える河原温が2014年に亡くなったあと、2015年に回顧展を実施した美術館でもあり印象に残っている。作品は、企画展の内容に左右される部分が大きいかもしれないが、空間を体感するという観点で、非常に興味深い場所なので、是非訪れていただきたい。

2003年、2016年、2025年訪問
基本情報
■ 名称:グッゲンハイム美術館
■ 住所 : 1071 5th Ave, New York, NY, USA
■ ホームページ:https://www.guggenheim.org/
Originally published on May 11 2026

