神奈川県、横須賀市。一般住宅エリアに位置する現代美術館。美術館裏にある竹林を歩き、美術館館長との会話から、現代美術黎明期にこの美術館を立ち上げた誇りと情熱を感じる。
神奈川県横須賀にある現代美術館。三浦半島の中央に位置している。最寄りの横須賀線衣笠駅から歩いて20分程の場所にあるこの美術館は私設美術館だ。開館は1994年。この時代、現代美術はまだ脚光を浴びていなかった。東京の私設美術館で言うと、1979年開館の原美術館(2011年閉館)、1990年開館のワタリウム美術館が思い浮かぶが、現代美術黎明期の美術館と言えるだろう。

この美術館の存在は気になっていて訪れたくなる展示も開催されていたが、なにぶん微妙な場所にあるため訪れる機会がなかった。周辺は普通の住宅街。二車線道路を脇に入り、住宅街を上っていく。本当に美術館があるのだろうかと勘繰ってしまう。
車が一台しか通れない狭い通りを進むと右手にこの美術館の敷地が現れる。現れるといっても建物は少し奥にあるので、門の手前にある美術館の標識がないとわからないだろう(私は、場所に気付かず、車で奥まで走ってしまい、狭い道路でUターンしている)。


敷地に入ると、左手に車が止められるスペースがある(3台程度)。正面にメインの建物。一般家屋にも見えないではないが、拘りを持ったセンスのある人が建造したことが分かる。建物に入ると左手に受付。美術館の方が迎え入れてくれ、館内のことを説明してくれた。
展示室は、右手に第1展示室、左手に第2展示室。第1展示室は、20m2程度の部屋が二つ。最初に訪れた時は、「マルセル・デュシャンを考える」という展示が行われていた。現代美術の奔りとも言われる「便器」の作品で有名な人だ。



中央奥から外に出ると右側に離れの建物が二つある。Room3と呼ばれた部屋には、李禹煥とナム・ジャン・パイクの作品が並んでいた。李禹煥の壁に描かれた絵は、いい感じの照明を浴び安らげる空間を創り出していた。何より、人がいない空間は貴重だ。二回目の訪問時は「李禹煥、合間の遊作 」が行われていて、Room3に石と陶器の絵が展示され、「静」なる空間を創り出していた。


建物の裏手には竹林があり、オブジェが並んでいる。美術館の館長の方のお話だと、この場所はもともと竹林だったということで、その竹林を切り開いてこの美術館を建てたということだった。30年前にこの空間を創り出したというのは、芸術に対するただならぬ情熱があったということに違いない。李禹煥のお話をしたところ、知り合いのようで、奥の作品も特別に李さんに描いてもらったということだった。開館からちょうど30年、まだまだエネルギッシュな方だった。



尚、入口奥にはカフェのスペースがある。天井の高い空間にアンティック家具が並んだ落ち着けるスペースだった。このカフェで寛ぐためだけに訪れるというのも十分ありだろう。

この美術館を訪れて、昔、アイスランドで偶然見つけた私設美術館を思い出した(サフナサフニド フォーク & アウトサイダー美術館)。私設美術館は一般家屋の延長線上の場所が多いこともあり、寛げる空間になるのかもしれない。是非、少し足を伸ばしてでも訪れていただきたい。
また、私が訪れた二度は、いずれも館長である若江 栄戽(はるこ)さんがおられ、お話ししてくれた。美術館の館長の方と話ができるというのも非常に貴重である。現代美術黎明期を知る方という意味で、貴重なお話がうかがえるはずだ。
2024年訪問(二回)
基本情報
■名称:カスヤの森現代美術館
■住所:神奈川県横須賀市平作7-12-13
■ ホームページ:https://www.museum-haus-kasuya.com/
■ その他
展示作品の中に篠原有司男さんの作品がありました。

(Described on Dec 20 2025)

