サンフランシスコ近代美術館 (San Francisco, CA, USA)_作品のパワーに圧倒される

街自体が美術館のようなサンフランシスコ。思いがけず、アンゼルム・キーファーの作品スペースに遭遇し、作品が放つ底知れないパワーに圧倒される。

サンフランシスコにある近代美術館。近代美術館として有名なニューヨーク近代美術館(Museum of Modern Art)と区別するためSFMOMAと呼ばれている。

サンフランシスコには美術館は多くない。少なくとも西海岸のロサンゼルスと比較すると数は限定される。個人的見解だが、これはサンフランシスコの街の景観が美しいことが関係しているような気がしている。街の景観が楽しめるので、わざわざ美術館に行く必要がないのだ。

サンフランシスコにある美術館というと、このサンフランシスコ近代美術館とデ・ヤング美術館になるだろう。サンフランシスコ近代美術館は、2013年より増改築のため2016年まで休館していたこともあり、訪れると閉まっている印象がある。最初の訪問は、2017年だったが、その時は、まだ、増改築が継続していたようで、スペースが限定されており印象に残らなかったが、2024年の訪問時に作品の充実度に驚かされた美術館だ。

場所は、サンフランシスコダウンタウン。中心を北東から南西に延びるマーケットストリートの南側に位置している。このマーケットストリートの南側のエリアは治安が良い感じはしないが、この美術館の周辺であれば大丈夫だろう。

建物は7階建て。2024年の訪問時は7階には展示がなかったが、1階から6階までは展示作品で埋め尽くされていた。都心にある美術館にしては、各フロア面積も広い。

個人的にこの美術館を決定的なものにしたのは、6階にあった二人の作家の展示だった。一つは、Gerhard Richterギャラリー、もう一つはAnzelm Kieferギャラリーという名称で、それぞれ二区画程度が作品で埋め尽くされていた。

Gerhard Richterは、作家の真骨頂である様々な色合いが模された抽象画の作品が並び素晴らしかったが、それ以上にAnzelm Kieferギャラリーに並んだ作品の充実度に驚かされた。Anzelm Kieferの作品は、大版作品が多いのだが、10ケ程の展示作品は、すべてこの大版だった(オブジェ作品もあった)。大きさにして、縦2mx横4mという感じの大きさの作品が、ゆったりしたスペースに配置されていた。

Anzelm Kieferは、歴史を題材にした作品が占めており、おどろおどろしい印象を受けるのだが、この美術館も同様で、Gerhard Richter作品のエリアから、このAnzelm Kieferの作品エリアに入った瞬間に、空気が変わったのを感じた。彼の作品は多くの美術館で目にする機会はあったが、展示されていたとしても1作品の場合が多かったため、彼の作品で埋め尽くされたこの空間は新鮮で強烈なインパクトを受け、この作家の作品が発するエネルギーに圧倒された。

さて、その他の展示作品だが、近代美術館の名にふさわしく、1900年代の多くの作家の作品が展示されていた。展示されていた著名なアーティストを列記する。

Gerhard Richter、Anzelm Kiefer、Jasper Jones、On Kawara、Yayoi Kusama、Mark Rothko、Cy Twombly、Andy Warhol、Donald Judd、Dan Flavin、Bruce Nauman

下の階には写真、Contemporary Art の展示もあり幅広い。5階にあったカフェはいい感じで、彫刻が展示されているテラス席もあり落ち着ける空間だった。展示室では、スタッフの姿も気にならず、鑑賞者への配慮が行き届いた美術館という印象だ。

最後に、この美術館のトイレについて記載しておく。各フロアにあるトイレは、床、壁、天井が一色で塗りこまれている。各階ごとに色が異なっていた。好きな色がある方は、各フロアにあるトイレを廻っていただきたい。

2017年、2024年訪問。

基本情報

■ 名称:サンフランシスコ近代美術館
■ 住所: 151 3rd St, San Francisco, CA, USA
​■ ホームページ:https://www.sfmoma.org/