メキシコシティー。ミュージアム都市で、色鮮やかな作品に囲まれ、メキシコ芸術の底力を感じる。
メキシコシティーにある近代美術館。メキシコシティの中心街から西に数キロの場所にあるチャプルテペック公園の中に建物がある。美術館を巡ると、どうしても欧米が中心になってしまうこともあり、メキシコシティーの雰囲気は非常に新鮮・刺激的に映る。東南アジア、西アジアの雰囲気に近い部分はあるが、微妙に違う。言葉では表現しづらいが、辿ってきた歴史とスペイン語圏であることが影響しているはずだ。
メキシコのアーティストと言うと、メキシコ壁画運動で活躍した三大巨匠である、リベラ、シケイロス、オロスコ、その他にはタマヨなどが挙げられるが、個人的には、どうしてもシケイロス(Siqueiros)が浮かんでしまう。この美術館にもシケイロスの作品は展示されており、その込み上げてくる感情を受け止めることができる。加えて、この美術館は、基本的にメキシコ作家の作品を展示しているようで、メキシコ現代作家の質の高さを実感できる。
建物は、受付のある入口の建物と、庭を挟んで奥に作品が展示されている建物がある。両方とも、円柱の形状をしていて、中央が丸く吹き抜けになっている。カッコいい。作品が展示されている奥の建物は、私が訪れた時は、一階が最近の作家、二階が1950年代を中心とした作家が展示されていた。二階は、三大壁画活動で活躍した著名作家の作品が展示され目を引いたが、一階の現代作家にも、何人か覚えておくべきと思える作家が存在した。
この美術館の展示は、各作家ごとに作品が展示され、作家の紹介が記載され、非常に見やすかった。メキシコ美術は、色使いが鮮やかで、見ていて嬉しくなる作品が多い。この色だが、原色ではなく、微妙に薄い、あるいは黒みがかった感じがする。メキシコの町を歩いていると、建物の色、壁に描かれた絵の色に目を奪われることがあるが、使われている色は原色ではない印象だ。赤、青、黄、緑。原色から微妙に色合いがずれている気がする。ペルーを訪れた時に、昔は、作れる色が植物から作り出せる15種類に限定されていたという話を聞いたが、これが関係しているのかもしれない。
メキシコシティーは美術館、博物館が多いため、選択が難しいが、迷わず、ここを訪れて欲しい。尚、訪れた美術館、博物館の多くは、館内の至るところにスタッフ(特に女性)の姿が目につき、鑑賞を阻害している部分があったが、この美術館は、それほど気にならず、落ち着いて鑑賞することができた。
また、メキシコは至るところにMural(壁画)が見られる。何人かに、「何故、メキシコには多くのMuralがあるのか?」という問いをしたが、「Protestすることが根底にあるのかもしれない」という答えが、一番しっくりきた。他国からの侵略他、複雑な過去の歴史が影響しているような気もする。
2019年訪問。
基本情報
■ 名称:メキシコ近代美術館
■ 住所 : Av. Paseo de la Reforma s/n, Bosque de Chapultepec I Secc, Miguel Hidalgo, 11100 Ciudad de México, CDMX, Mexico
■ ホームページ:
https://mam.inba.gob.mx/
(described on Jul 24 2021)