アルゼンチン、ブエノスアイレス。欧州のパリと呼ばれる美しい街で、南米のベスト美術館を探し当て、ラテンアメリカ芸術のエネルギーを感じる。
アルゼンチン、ブエノスアイレスにある現代美術館。MALBAという名称で親しまれている。南米の現代美術館は、なかなかしっくり来るものがなかったが、この美術館は、コンセプトもしっかりしており、また、建物&空間もリフレッシュできるものだった。
美術館は、地下一階、グランドフロア、一階、二階(階数の数え方はイギリス式)から構成され、二階で企画展を行っている。私が訪れた時は、プールの下に人が入れる「スイミングプール」という作品で有名な、レアンドロ・エルリッヒ(Leandro Enrich Liminal)の企画展が行われており、「スイミングプール」はグランドフロアと地下一階に設置されていた。ちなみに、このレアンドロ・エルリッヒは、アルゼンチン、ブエノスアイレス出身の作家で、日本では、金沢21世紀美術館で「スイミング・プール」が恒久展示され、2017/18年には森美術館で企画展が行われている。
この美術館は、名前の通りラテンアメリカ・中南米の作品に特化しており、一階に展示されていたコレクション展が秀逸だった。絵画、抽象画、オブジェ、コンテンポラリー系と一通り作品群を網羅し、鑑賞していて楽しくなる作品が揃っていた。
中南米のアーティストは、筆遣い、色使いが独特で、欧米の美術館に展示されていると目を引くことがある。この美術館には、欧米作家の作品は置いていないようなので、通常とは少し異なった感覚で鑑賞できるだろう。
ちなみに、中南米の作品は、「プロテストする」ことをテーマにした作品が多い。これは、西欧による侵略の歴史が影響しているはずだ。私がブエノスアイレスを訪れたときも、街の中央の大通りでデモが行われていたので、「プロテストする」ことが日常となり、作品に投影されやすい環境にあるといえるのかもしれない。
「プロテストする」というのは、作品が生まれるベースとして必要不可欠な部分もあると思う。そういう意味では、中南米作家の作品には、「動」と「熱」を感じる作品を目にすることが多い気がする。
ブエノスアイレスは、欧州の街を思わせる雰囲気があり、美しい場所だ。街中を歩いていると、路上で、衣装を纏った男女がタンゴを踊る場面に遭遇したり、「Cambio、Cambio」と叫んでいる個人の両替商の姿が至る所で見られたりという、他の場所では見られない光景を目にすることができる。是非、足を運んでみていただければと思う。
2019年訪問。
基本情報
■ 名称:ラテンアメリカ芸術美術館 / Museo de Arte Latinoamericano de Buenos Aires
■ 住所 : Av. Figueroa Alcorta 3415 C1425CLA, Buenos Aires, Argentina
■ ホームページ:https://www.malba.org.ar/en/
(described on Sep 26 2021)