インパクト:★★★☆☆
空間:★★★☆☆
独自性:★☆☆☆☆
東京都、大田区の倉庫街。カーボン紙の塊の迷路を通り抜けると、小中学校の体育館を思わせる空間に作品が現れ、誰もいない静寂な空間で瞑想に耽る。
東京都大田区にある美術館、いや、ギャラリー、いや、名称の通りFactory。京浜東北線の大森駅からバスに乗って30分弱。城南島という倉庫街の人工島にある。「城南東二丁目」で下車、すぐ近くに建物がある。外から見ると小綺麗なオフィスビルに見えるが、もともと東横インの倉庫だったということだ。


建物を入ると左手の部屋に受付、受付正面の空間に作品が展示されている。以前は三島喜美代のインスタレーションが展示されていた。奥に進むと、今度はカーボンに新聞紙がプリントされた塊が積み上げられた空間が現れ、これが迷路状になっている。歩いていると楽しくなる空間。アーティストの意気込みを感じることができる。

そして、その迷路のような通路が終わると巨大な展示空間が登場する。かつて、三島喜美代の「20世紀の記憶」というタイトルのレンガが敷き詰められた作品が展示されていたが、2026年に訪問した時は、空間に綱を張り巡らせ、光を投影する作品が展示されていた。

私は、四回訪れているが、四回とも誰もいなかった。この広大なスペースに自分だけ。何とも贅沢な展示室だ。地方で行われる芸術祭で、閉校した学校の体育館や、使われていない倉庫にスケールの大きな作品が展示されているのを目にすることはあるが、東京でこの空間と作品を目にできるのは非常に貴重だ。
この場所だが、端に螺旋状の階段がありキャットウォークを歩くことができるようになっている。以前は、そのキャットウォークに沿って、ピカソが、写真家+詩人と共同制作した写真が展示されていた。

建物の3階には浮世絵の展示があり、4階にはアーティストが作品制作を行うスタジオが並んでいる。二度目の訪問時は、このスタジオが公開されており、10程度の区切られた部屋があり、数名のアーティストが制作している光景を見ることができた。


この美術館がある城南島は海を挟んだ向かい側に羽田空港があり、建物の屋上から空港を行き交う飛行機を見ることができる。周りは倉庫街で、特に週末は人の往来も少ない。冒頭に記載の通り、一番近いJRの大森駅からバスで30分程度かかる不便さもあるのだろう、来館者は非常に少ない。


東京には有名な美術館が数多くあるが、この場所で味わえる静けさと広大な空間は、他ではなかなか出会えない。非日常を体感できる稀有な場所だ。是非、足を運んでいただきたい。
三島喜美代「20世紀の追憶」: 2024年前半まで展示されていた作品




2022、2023、2024、2026年訪問
基本情報
■ 名称:Art Factory 城南島
■ 住所 : 東京都大田区城南島2丁目4−10
■ ホームページ:https://gallery1045.com/
Originally published on Feb 11 2024
Last updated on July 3 2026

