ミロ美術館 (Barcelona, Spain)_ミロだけの作品による贅沢な空間

スペイン、バルセロナ。観光客で溢れるこの街には珍しく比較的人が少ない場所で、ミロの作品だけが展示された贅沢な空間に身を置く。

ミロを初めて見たのは、まだ美術に興味がなかった二十代前半。New York City (NYC)で、なんとなく足を運んだニューヨーク近代美術館(MOMA)で行われていたミロの特別展だった。NYCで時間を持て余し、MOMAで何となく特別展のチケットを購入し中に入ったのだ。細い線とカラフルな色使いが印象的な絵を目にし引き込まれた。個人的には、スペイン三大巨匠であるピカソ、ダリ、ミロの中では一番お気に入りの作家だ。

ミロの作品は主要美術館で見ることができるが、バルセロナにあるこの美術館は、ミロだけの作品で構成されているという意味で非常に貴重だ。場所は分かりにくい。カタルーニャ美術館という巨大美術館の裏手から坂道を上っていく必要がある。地下鉄のエスパニョール駅から歩くとすると、カタルーニャ美術館に向かって展示会場の間を通る大通りを進み、美術館に向かって左手に回り込み、しばらく歩いたところにある。階段が結構あるし時間もかかる。ずいぶんわかりにくいところに作ったなあと思う。

さて、美術館だが、こぢんまりとして、かつ、適度な大きさでミロの作品を堪能できる。一階に並んでいる作品を鑑賞していると楽しくなってくるし、外れの作品が一枚もない。私が2019年に訪れた時には、一階に「drop of water on the rose colored snow」というタイトルの、印象に残るオレンジ色の背景の絵が飾られていた。1966年に日本を訪れた後、日本をインスピレーションして描いた作品ということだ。

一階の中庭と二階は外に出られるスペースがありリラックスできる。尚、基本はミロの作品だが、一階一番奥の地下に若手作家の作品を展示するスペースがある。私は三回足を運んだが、三回とも印象に残った作品だったので、立ち寄っていただきたい。

一階にあるカフェもこぢんまりとしていい感じ。バルセロナは他にも美術館はあるが、期待外れだったということもあり、バルセロナを訪れた時に「どれか一つしか見る時間がない」という状況であれば、迷わずこの美術館をお勧めする。

尚、2019年に訪れた時には、館内の写真撮影が可能だった。前回の二度の訪問時は駄目だったはずだが、最近は写真撮影に寛大になった美術館が増えた気がする。また、バルセロナは人気の街で、どこへ行っても混んでいる印象しかないが、この美術館はミロの知名度の高さを考えると比較的人は少ないという気がする。これは、おそらく、場所が関係しているはずという気がするが、是非、足を運んでいただきたい。

2008年、2012年、2019年訪問。

​基本情報

​■ 名称:Joan Milo美術館
■ 住所 : Parc de Montjuïc, s/n, 08038 Barcelona, Spain
​■ ホームページ:
https://www.fmirobcn.org/en/

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