ダイア・ビーコン / Dia Beacon (Beacon, NY, USA)_巨大な空間に並ぶ巨匠の作品に酔いしれる。

インパクト:★★★★★
空間:★★★★★
独自性:★★★★☆

アメリカ、NYC郊外。NYCの喧騒とはかけ離れた自然に囲まれた場所に現れる巨大な建物の空間で、現代アートの巨匠たちによる秀逸な作品が、贅沢に並べられる光景を目撃する。

ニューヨークシティー郊外にある美術館。Dia Art Foundation (Dia)という非営利団体があり、複数のギャラリーをアメリカ国内で運営している。この美術館は、その中の一つ。1974年に設立されたDiaは、インスタレーション、サイト依存型作品、ランドアートを中心にアートを展開している団体・ギャラリーで、1960年から70年代にかけて活躍したアーティスト、Joseph Beuys, Dan Flavin, Donald Judd, Agnes Martin, Andy Warholをサポートしてきている。

Diaが運営する施設の中で、最大規模なのがこのDia Beaconだ。マンハッタンのGrand Central駅から電車に乗り北へ向かう。電車はハドソン川沿いを走る。川というよりは、フィヨルドという形容がしっくりくると思う。マンハッタンの喧騒とはかけ離れた美しい光景が続く。

電車は一時間半程度でBeacon駅に到着。目の前はハドソン川、地元の人が使う駐車場が広がっている。駅から歩いて10分程でDia Beaconに到着。敷地には工場のような感じの古い建物がある。美術館のスタッフに確認したところ、この建物は、かつて、ナビスコ社のパッケージ印刷工場だったということだ。

建物に入りチケットを購入。Diaの他のギャラリーは、ほとんど無料だが、ここは有料だ。私が訪れた時の入場料は25US$だったが、この金額に見合う場所だ。購入後、作品が並んだエリアへ。

で、結論から書くと、凄い。久しぶりに驚かされた。嬉しくて声が出てしまうような作品、空間だった。

広大な場所に多くの作品。コンセプトは一部屋、一空間に一作家の作品。まず、入って左手にあるカーテンの作品が凄かった。真ん中には、WarholのShadow。作品スペースは50mx40mというところだろう。作品が壁を一周している。

そして、河原温の日付絵画の部屋。1966年から2000年まで飾られている。素晴らしい部屋だ。部屋の中央には一人掛けのソファーが三つ設置されていた。ちなみに、1989年の作品は同じ日のものが2枚展示。昔、ベルリンのハンブルガー・バーンホッフ現代美術館で、同様の展示スペースに遭遇したことがあったが、それ以来だ。河原温マニアからすると、この空間を目にしたとき、驚きで声をあげてしまった。

展示作家には、Donald Judd、Roni Hornなど有名どころの作品もある。驚いた作品は、奥の左側にあった、四角と丸の大きな穴が空いた作品(Michael Heizer)。

そしてインパクト充分だったのは、地下にあったSteve McQueenの作品。タイトルはBass。天井に四角い照明が並び、Bassの音が響いている。室内は暗い。広さは80mx50m、天井は7~8mあった。室内には重低音のサウンドが流れ、怪しげな照明が室内を照らしていた。照明の色は、私がいる間にオレンジから緑に変わった。室内には柱が立ち、柱に寄りかかり座っている人の姿があった。この暗がりの空間で、怪しい照明の色と重低音を身体で感じ瞑想する場所という形容がしっくりくる。私がスペースに入った時も、柱に寄りかかるようにして座り込み、この空間で瞑想に耽っている人の姿が見受けられた。

建物は、かつて工場だった雰囲気が残り、サイズ的には、150mx120m程度。天井までの高さは10m程度。この広大なスペースに限られた数の作品が並んでいる。私が訪れた時に展示されていたアーティスト数は28。これだけ広い場所だと、この数のアーティストでも空間に余裕がある贅沢な空間だ。

作品は、インスタレーションが大半。絵画は、Andy Warhol のShadow程度だった。作品+空間を楽しむという意味では、最高レベルにある美術館かもしれない。是非、ニューヨークを訪れる際は、スケジュールに組み込んでいただきたい。

ちなみに、滞在時間が短く、ニューヨークで一つしか美術館に行く時間がないと言われたら、私は、迷わずこの美術館を選ぶと思う。是非、訪れていただきたい。

2025年訪問

基本情報

■ 名称:ダイア・ビーコン / Dia Beacon
■ 住所 :  3 Beekman St, Beacon, NY, USA
​■ ホームページ:https://www.diaart.org/visit/visit-our-locations-sites/dia-beacon-beacon-united-states
■ その他
美術館が配布しているパンフレットには、写真撮影禁止とありましたが、実際には可能でした。ただし、私が訪れた時は、地下にあったSteve McQueenの作品は撮影禁止でした。