島根県立美術館 (Shimane, Japan)_夕陽に包まれる美術館

島根県、松江。湖畔に佇む近代的建築物から、最近の美術館だと思い、開館が1999年であることを知って驚き、「夕陽に包まれる美術館」を体感するため戻ってこようと思う。

島根県の県庁所在地、松江にある県立美術館。JR島根駅から歩いて20分程度、宍道湖(しんじこ)の湖畔に位置している。こんなことを言って恐縮だが、島根という場所、また、県立美術館ということで期待をしていなかったが、印象に残った美術館だ。

ホームページのトップページに「夕陽に包まれる湖畔の美術館」という記述がある通り、夕陽が見れる美術館を売りにしている。夕陽を見ることを念頭に入れている証拠が、開館時間を日没から30分後までに設定していることにある(3月から9月まで、10月から2月は18:30まで開館)。

ちなみに、夏至の頃の一番日が長い時の夕陽は19:30頃なので、20時まで開館していることになる。美術館の閉館時間というと、17時、18時が一般的で、19時も珍しかったりするので、20時閉館というのは貴重だろう(東京だと20時まで開館しているのは、新美術館と東京国立近代美術館の金曜日と土曜日というのが思い浮かぶぐらいだ)。

まず、美術館の建物について記載しておきたい。道路から敷地に入ると、床から天井までガラス張りで、中が見える構造の建物が現れる。建物の前は車が巡回できるようなロータリーになっている。屋根の庇が畝っており最近設計された建物のように感じたが、開館は1999年。意外と早い。東京を例にとると「森美術館・2003年開館」「新美術館・2007年開館」「横浜トリエンナーレ・2001年開始」なので、これよりも古い美術館ということになる。

正面入口から中に入る。広いスペース。左手に受付があり、正面に宍道湖が見える。湖に面した側面は床から天井までガラス張りで、椅子が並んでいる。私は夕陽の時間に訪れることはできなかったが、夕方は人で埋まるに違いない。このスペースはチケットを購入しなくても徘徊できるようであり、リラックスしたいときに訪れて、椅子に座り、宍道湖の景色を眺めるのは、贅沢な時間に違いない。

展示室は、一階と二階。一階は入り口を入った左手奥にあり、通常は企画展が行われるようだが、私が訪れた時は、企画展は行われておらずクローズしていた。受付横の階段を昇ると中二階があり、ちょっとした本棚と閲覧するためのテーブルが並んでいる。ここからも宍道湖の景色を眺めることができる。

二階にある展示室は、常設展示室だが、この美術館のもう一つのハイライトと言えるだろう。ここに20mx20m程度のロビーがあり、そのロビーを囲むようにして5つの展示室が並んでいる。ロビーは天井まで10m程度。壁に面して長椅子が並んでおり腰を下ろす。東京の美術館にはない開放感溢れる空間だ。展示室は1から5まであり、展示室1はこの美術館のハイライトとなる作品が展示されている。日本画が中心だが、欧米の作品も並んでいる。一番目を引いたのは、安土桃山時代に作られた作者不明の屏風画。言い方が失礼で申し訳ないが、島根という場所にしっくりくる展示物だった。私が訪れた時は、展示室3は「北斎コレクション」だった。照明を落とした空間に浮世絵が並んでいた。

一階のロビーから見える宍道湖の横は、スペースがあり、歩いている人、ランニングしている人、犬の散歩をしている人の姿が見受けられた。館内も空いていて、ゆったりとした空気が流れ、都会にはないリラックスできる空間を作り出している。島根に行く機会がある方は、是非訪れていただきたい。

2025年訪問

基本情報

■ 名称:島根県立美術館
■ 住所 : 島根県松江市袖師町1−5
​■ ホームページ:https://www.shimane-art-museum.jp/