サンタフェ・ キャニオンロード (Santa Fe, New Mexico USA)_特殊な景観に驚く

アメリカ南西部、アドビ建物の特殊な景観に驚き、キャニオンロードに向かい、ギャラリーに入り、店員と挨拶を交わす。

アメリカ、ニューメキシコ州にある街。ニューメキシコ州の州都でもある。1610年に創設された長い歴史を持つ街で、アドビ(Adobe)と呼ばれる砂、砂質粘土などの有機素材で作られた黄土色の建物が並ぶ景観が有名だ。ニューメキシコ州には、アメリカ先住民が定住する多くのプエブロ地区があるが、プエブロの伝統建築であるアドビ風に建物を統一することにより、アメリカ、いや世界的にも類を見ない特殊な景観を形成している。

街のダウンタウンにあるプラザ/PLAZA周辺に教会などの歴史的な建造物が集まっている。この地区の建物は、ほとんどがアドビ建築で、青空とのコントラストが印象的だ。プラザには、総督邸と呼ばれるニューメキシコ州知事の公宅があるが、この総督邸の建物の前に、サンタフェ周辺からやってきた先住民の人々が床に民芸品などを並べ、観光客相手に販売する光景を見ることができる。

プラザ周辺には、有名な教会が三つある(ロレットチャペル、サンミゲル教会、聖フランシス聖堂)。また、装飾品、衣服の店舗、ギャラリーが多数並んでいる。このプラザ周辺は、センスの良い店で溢れている。高級ブランド店が並んでいる訳ではないが、そのセンスの良さから、高尚な印象を受けてしまう。私が最初にサンタフェを訪れたのは1988年、その後1994年、1996年、2024年に訪れているが、昔に比べると、より洗練され、より綺麗になった印象を受ける。

通りを歩いていると、カメラにおさめたくなる光景が随所に現れる。このサンタフェは標高が2000mを超えていることも関係しているのか、アドビ建築の背後の青空に配された雲が低く、これも絵になる場所が多い要因の一つに違いない。

さて、このプラザから少し歩いた場所に、キャニオンロードという道路がある。この通りは、ギャラリーが並ぶ場所として知られている。ホームページで確認すると80程度のギャラリーが存在する。キャニオンロードの西の端から1km先まで、道路の両側にギャラリーが並んでいる。普通の道路で、通りを外れると一般住宅があるエリアだ。

アメリカで、ギャラリーが密集しているエリアというと、ニューヨークのチェルシーを思い出す。チェルシーにあるギャラリー数は200を超えているということで、数では劣るが、一つの道路沿いにギャラリーが並ぶという点でキャニオンロードは特異な場所と言えるだろう。

ここでは、サンタフェを象徴する、このキャニオンロードについて、印象に残ったギャラリーとともに記述したい。

キャニオンロード

■ 全体概要・印象

キャニオンロードの出発点となる西端は、サンタフェの中心にあるプラザより歩いて10分程度の場所だ。この西端の道路左手と右手にギャラリーが密集したエリアがある。特に左側は、コンテンポラリーを中心としたギャラリーが集まっている。アドレスは200番台。敷地の奥には駐車場がある。1994年と1996年の訪問時はなかったと思う。

キャニオンロードはここから緩やかに上っていく。住所の300番から500番台までギャラリーが点在している。600番台のギャラリーは限られていて、最後は700から800番台でギャラリーは終了。800番台にも駐車場がある。やはり、この駐車場も、昔はなかったような気がする。

ギャラリーに入ると、ほぼすべてで店員の人が 「Welcome In」 という感じで挨拶をしてくる。何かを押し付けてくるような感じは一切ない。おそらく、多くの観光客が来るので慣れているか、忙しいということもあるのだろう、店員の方から話し掛けてくることはほとんどなかった。このあたりが、来訪者が気兼ねなく店内に足を踏み入れることができる要因なのだろう。

キャニオンロードのギャラリーの特徴は、部屋が4つ5つあるような大きなギャラリーがあることだろう。ギャラリーというよりも小さな美術館という感じの場所もある。基本は住宅街にある一般家屋を使用しているので、作られた感じはしない。この点が他の場所にあるギャラリーとは異なる点かもしれない。

前回訪問しているのは1994年と1996年、すなわち30年ほど前になるが、人物・風景などの写実的絵画を展示しているギャラリーは減り、コンテンポラリー系、特に抽象・デザイン系絵画が増えたような気がする。また、全体的に建物も含め、綺麗になった印象を受けた。まだまだ、ビジネスとして成功しているエリアなのだという印象だ。

■ 印象に残ったギャラリー

2024年の訪問時に印象に残ったギャラリーをリストする。いずれも、コンテンポラリー系のギャラリー。

Tiera Mar Gallery (225 Canyon Road)

洒落た店内で、ギャラリーというよりもブティックにみえるような場所だ。店内にいい感じの抽象画が展示されていて眺めていると、店員の方が横を通りながら「写真を撮ってもいいよ」と声を掛けてきてくれた。他のギャラリーでもそうだが、気にいった作品があったら、声を掛ければ写真も大丈夫なようだ。

Owen Contemporary(225 Canyon Road)

上述のTiera Mar Galleryの隣、ギャラリーが数件集まったエリアにある。抽象画中心。こういう絵を家に飾れたらいいなあ、と思えるような作品が並んでいた。絵画の間に配置されたオブジェも素晴らしかった。

GF Contemporary(707 Canyon Road)

Canyon Roadの奥の方にあるギャラリー。今回徘徊したギャラリーの中で、このギャラリーが一番広かったかもしれない。ギャラリーというよりは、小さな美術館のようだった。

Globe Fine Art (727 Canyon Road)

色鮮やかな作品が並んでいた。ギャラリーの前は小さな庭のようになっており、オブジェ作品が並んでいる。ベンチもあるので、座って休憩ができる場所だ。建物の横には「Sculpture Garden」というエリアがあり、彫刻作品が並んでいた。

■ その他

ギャラリーの端から端までは1kmほどある。歩いて15分程だが、西から東は緩やかな上り坂だ。ギャラリーに入り中を徘徊すること、春から秋にかけて日中は気温が高くなることもあり、結構バテバテになる。道路脇にあるのはギャラリーなので、休憩できる場所も限られている。カフェは、中ほどの619番地に、Café Canyonというカフェがある。テラス席もありリラックスできるのでおススメだ。テラス席に座っていると、店内から出てきた店員が、「How are you this morning, Beautiful weather isn’t it」と話しかけてきた。あとは、上述に記載したGlobe Fine Artの前にベンチがある。

サンタフェの他のオススメの場所

最後に、サンタフェ(とその付近)で印象に残った場所を三ヶ所あげておく。ジョージア・オキーフ美術館は詳細を記載している記事があるので、そちらも合わせて参照いただきたい。

Lorettoホテル(イン & スパ アット ロレット)

アドビの建物が積み上げられたホテル。プラザから徒歩で2‐3分の場所にある。入口前に立つとそのたたずまいに圧倒される。1975年の創業。個人的には1996年に宿泊したが、今では、宿泊費も敬遠せざるを得ない金額となってしまった。サンタフェのアイコン的な建物なので、宿泊しないまでも、ホテルの正面に立って、その特異な景観を眺めていただきたい。

ジョージア・オキーフ美術館

アメリカを代表する女性画家、ジョージア・オキーフの作品だけを集めた美術館。彼女は、ニューヨークで活躍したのち、サンタフェから北西100kmほどの場所にあるアビクィウ/Abiquiuという町へ移住し、周辺の自然を中心に作品を製作した。美術館自体は小さいが、それでもオキーフが好きな人は足を運ぶ価値がある美術館だ。アビクィウにあるオキーフが住んでいた家は、ツアーで廻れるようになっている。詳細は別の記事を参照いただきたい。

The O’Keeffe Home & Studio Tours

サントワリオ・デ・チマヨ教会(EL Santuario de Chimayo)

サンタフェの北東、50km弱の場所にあるチマヨ/Chimayoという小さな町にある教会。ニューメキシコ州は、スペイン人が入植した歴史より早くからキリスト教が広がったエリアでもある。この教会はアドビ建築で作られ、青い空とのコントラストが素晴らしい、落ち着く場所だった。

1988年、1994年、1996年、2024年訪問

基本情報

■ 名称:サンタフェ、キャニオンロード
■ 住所 :  Canyon road, Santa Fe, New Mexico, USA
​■ ホームページ:https://www.visitcanyonroad.com/