東京、新宿にあるギャラリー。聞いたことがないアーティストの企画展に足を運び、秀逸な作品と空間に感嘆する。
東京、新宿区にあるギャラリー。京王線、初台駅に直結した東京オペラシティーのビルの中に入っている。名称はギャラリーだが、施設の広さを考えると、美術館の領域に括られると思う。そもそも、入場は有料なので、やはり美術館でいいだろう。
ギャラリー入口は3階。3階では企画展が行われ、階段で4階に上ったスペースではこのギャラリーが保有する作品が展示されている。3階のスペースは天井が高く(7-8メートルはあるか)、広々としたスペース。壁は真っ白で現代的な造りだ。
この場所が気に入っている理由は二つある。一つ目は企画展の質の高さ。展示は絵画だけではなく、写真、インスタレーション、ファッション、建築と幅広く、海外アーティストも積極的に扱っている。名前を聞いたことがない作家の企画展が多かったりするが、それでも何かしらの発見があるか刺激を受ける。企画展の告知を見て、「良さそうだなあ」と思う企画展は訪れるようにしているが、「外したかなあ」、いや、「好みではなかったなあ」というのは一度だけだった。この美術館の学芸員の方は、相当引き出しが多いのだと思う。仕事をされていて楽しいのではないだろうか。羨ましい限りだ。
もう一つは所蔵品の豊富さ、かつ質の高さだ。4Fでは、所蔵品から選ばれた作品が並ぶ常設展が行われるが、企画展と共に毎回テーマが変わるため、常に新鮮な感覚で鑑賞できる。毎回同じ作品が並んでいるようには見えないので、所蔵品の多さは相当なものだと思う。
2021年に行われた、「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」では、3F、4Fに所蔵品が並んだが、有名な所では、白髪一雄、李禹煥の作品、加えて私は知らなかったが、難波田龍起、折笠昌義などが新たな発見となった作家だった。特に、折笠昌義は日常の風景を描いた作品が秀逸で、「日常生活:公園にて」と、「みる人」という作品は、是非、見て欲しい作品だ。
ちなみに、上述の「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」では、3Fは展示室の電灯が点いておらず、暗闇の中、渡されたペンライトで作品を照らしながら鑑賞するというコンセプトだった。4Fは部屋の壁の右側に絵が並び、左側には右側の絵と対象となる位置に絵の場所が四角く囲われ、その四角の隅に絵のタイトルと作家名が描かれるという工夫を凝らした展示だった。これはライアン・ガンダーのアイデアのはずだが、これを企画し受け入れる美術館としての姿勢も素晴らしいと思う。
また、4Fの廊下では若手作家の作品を展示している。時々、「こんな人がいるんだあ」と驚かされることがあるので、是非鑑賞いただきたい(と言っても、4Fに足を運べば、必ずこの廊下を通るようにはなっているのだが)。
尚、美術館に付属しているギャラリーショップは、気になる本を目にすることが多く、このあたりも、美術館の方の視点の良さが光っているような気がする。
このオペラシティーアートギャラリーは、創設が1999年と結構古いが、東京では意外と知られていないような気もする。穴場的な場所という気もするが、是非、企画展の告知を見て気になった展示を見かけた時は、足を運んでみていただきたい。きっと、新しい発見があるはずだ。
2014年以降、他数回訪問。
基本情報
■ 名称:東京オペラシティーアートギャラリー
■ 住所 : 東京都新宿区西新宿3丁目20−2
■ ホームページ: https://www.operacity.jp/ag/
(described on Mar 10 2024)