The Crocodile / クロコダイル (Seattle, WA, USA)

アメリカ北西部、シアトル。グランジブームの中心となったライブハウス。ニルバーナの曲と、どんよりした気候の連関性を考えながら、90年代を感じる。

アメリカ、シアトルにあるグランジのアイコン的なロッククラブ。ニルバーナも演奏している。1991年オープン。まさに、グランジブームとともに出現したクラブと言えるだろう。

シアトル(ワシントン州)が産んだバンドと言うと、すぐに、ニルバーナが頭に浮かぶが、それ以外にも、サウンドガーデン、パールジャム、クイーンズライヒ、少し戻ると、ハートなどがおり、個人的には、いずれも好きなバンドだ。シアトルがあるワシントン州は、冬になると雨が多い気候のため、憂鬱な気分になると言われており、その土地の気候が、その音楽に大きな影響を及ぼすことが理解できる。

クラブはダウンタウンの交差点の一角を占めている。周辺にはレストランや店があり、近くには、マリファナショップも存在する。アメリカのダウンタウンに見受けられる、浮浪者系の人が徘徊しているのも目に入るが、ロサンゼルスのダウンタウンに比べると、それほど危険な感じはしない。

クラブは入口の扉をくぐり左に進むとメインステージ、右側はピザを出すレストラン&バーになっている。ステージは、高さ1m、幅20メートルというところだろうか。ステージ前のキャパは200人程入れば満員になる感じ。ステージの向かって右側階上は十人程が並んで見下ろせるバルコニーになっている。バーはステージ前の観客スペース後方。ステージ左側は、壁に沿って若干座れるようになっている。建物の壁が薄いのと、観客エリア後方の壁の上方は小窓になっているため、外に立っていると演奏は筒抜けで聞こえてしまう。

私が訪れた時の演奏者は、ロック、サイケ系のインストバンドだった。バンドメンバーの年齢が若干高めということもあったが、観客の年齢層は高めで、50代、明らかに60代以上に見える人の姿も見受けられた。アメリカのクラブは、時々、しっかり歩けるのかどうか分からないような年輩の人を見かけたりするが、このあたりは、音楽が文化として根付いている証拠でもあり、羨ましい限りだ。

ニルバーナのカート・コバインは、シアトルの自宅で自殺をしたが、この場所は、ダウンタウンから、車で北東へ15分程走ったところにある。家の横は小さな公園のようになっており、そこには大木と、その下に木製のベンチがある。ベンチはファンのメッセージで埋め尽くされている。私が訪れた時、既にファンと思われるカップルが芝生に座っていた。また、しばらくすると、ファンと思われる他の人が、ベンチ周辺に現れ、ニルバーナーの影響力を実感することができる。

シアトルは、ロサンゼルスの底抜けの明るさとは対照的な場所だ。偉大なアーティストを生み出した場所でもあり、足を運ぶ価値はあるが、最近は、マイクロソフト、アマゾンの本社がこのシアトルにあることからも、街の雰囲気が変わってきた印象もあり、カウンターカルチャーを生み出す土壌を失いつつあるのではないかという気がしている。

2019年訪問。

​基本情報

■ 名称:The Crocodile
■ 住所 : 2200 2nd Ave, Seattle, WA, USA 
■ 演奏したミュージシャン:NirvanaPearl JamAlice in ChainsSoundgardenChea Trick, Green Day
■ ホームページ :  https://www.thecrocodile.com/