足立美術館 (Shimane, Japan)_日本庭園ランキング、連続日本一を確認する

山陰地方、島根。「日本庭園ランキング、連続日本一」で名を馳せる美術館で、美術作品として、庭園を鑑賞する。

島根県にある日本画を中心に展示している美術館。明治時代に日本美術院創立に関わった横山大観の作品の所蔵と日本庭園で有名な美術館だ。

場所は、島根県の近郊にある安来市(Yasugi-shi)。「どじょうすくい踊り」で知られる「安来節」発祥の場所だ。松江から車で訪れたが、田園地帯に突然、巨大な駐車場が現れる。その駐車場の端に蔵を模したような大きな建物がある。この建物は別館となるが、その別館の奥に本館がある。

この美術館は、美術作品よりも庭園で名を馳せている場所だ。「日本庭園ランキング、連続日本一」というキャッチフレーズを目にしたことがあるのではないだろうか。このキャッチフレーズに心を動かされ足を運ぶこととなった。

駐車場から別館の横を通り本館に向かう。左側には土産物屋の建物がある。道路を横切り本館に入る。この美術館は1970年創立、50年以上前ということもあり、それなりに歴史を感じる建物だ(とは言っても、鉄筋コンクリートの建物ではあるが)。

本館は2階建て、鑑賞ルートの指定があり、まず1階を進む。右手のガラス越しに庭園が広がっている。「これが噂の庭園か」と思いながら足を進める。庭園については素人なので詳細は分からないが、いわゆる大名庭園と呼ばれる庭園を想像すればいいのではないだろうか。

庭園というと京都にある龍安寺の石庭を思い浮かべてしまうが、「こじんまりした」というよりは、庭園がドーンと鎮座している感じだ。庭園を眺めることができる回廊が続く。途中、外に出ることもできるが、あくまでも庭園は眺めるだけ。庭園の奥には山がある。いわゆる「借景」。庭園の周囲にある、山、林、海、川などを庭の要素として取り入れる技法だ。

この美術館が庭園を重視しているのは、庭園も美術作品であるという考え方で、絵を鑑賞するのと同じように、庭園を鑑賞して欲しいということだ。

一階の回廊を進むと喫茶室が二つ現れる。庭園を眺めながら寛げる贅沢な空間だ。尚、一階の別の建物には茶室もあり抹茶を提供している。この喫茶室と茶室に入るためには、美術館の入館料を払って館内に入る必要があるが、2年間フリーパスの設定があるので、おそらく、この周辺に住んでいる方は、このフリーパスを使用して、この喫茶室と茶室に通っている方がいると想像する。

古美術、日本画の作品は、本館一階の回廊脇、二階、別館の一階と二階に展示されている。日本画の展示室は、外からの光が入らないようにして室内を暗くし、間接照明を活用する方法が多いが、この美術館の展示室も同様だった。尚、本館と別館は地下でつながっている。本館と別館の間には公道があるが、その下を地下道が走りつながっている。

個人的には、日本画・古美術には造詣が深くないため、作品の良さについてはよく分からないが、照明を落とした室内で、間接照明を受けた日本画、屛風をぼんやりと眺めていると心が落ち着く。この美術館にもこのような場所が何カ所か見受けられ足を止めた。

場所的な問題より訪問は簡単ではないが、改めて日本文化を知覚するという観点で、十分に訪れる価値があると思う。是非、山陰地方を訪れる際には立ち寄っていただきたい。

2025年訪問

基本情報

■ 名称:足立美術館
■ 住所 :島根県安来市古川町 320
​■ ホームページ:https://www.adachi-museum.or.jp/

■ その他

  • 私は、冬の午前中に訪れた。晴れていたが、美術館の建物の影が庭園に掛かっている部分があった。この経験から陽が高い日中に訪問するのがいいのではないかと思う。
  • 「日本庭園ランキング、連続日本一」についてだが、これは、「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」というアメリカで発行されている、英語の日本庭園、日本建築専門雑誌が発表しているランキング。ランキングは、「歴史的な重要性」「知名度」によらず「質」をベースにし、専門家によって選択されているということだ。
  • この美術館の東30kmほどの場所に「大山」(Daisen)という中国地方の最高峰である成層火山がある。富士山を思わせる美しい山なので見逃さないでいただきたい。