森美術館(Tokyo, Japan)_現代アート人気に貢献した美術館

東京、六本木。2000年代の現代アート文化の向上に貢献した美術館。高層ビルの最上階に並ぶ現代アートを巡り、作品の背後に広がる東京の風景に幻惑される。

東京都六本木にある美術館。2003年開館。展示は、現代美術を中心に絵画、彫刻、建築、インスタレーションなどを扱っている。開館当初は所蔵品を持たない方針だったが、その後、所蔵品を持つようになっている。常設展示は行われず企画展示となり、所蔵品は企画展に合ったものが随時使用されるようだ。

この美術館の特徴は、高層ビルの最上階にあることだ。六本木ヒルズ森タワーの最上階53階の展示室は、外が見える展示室もある。52階までエレベーターで上がり、エスカレーター手前でチェックを受ける。エスカレーターがある天井が高い空間は秀逸な設計で、この空間に立ってエスカレーター上を眺めると、ある種の期待感に包まれる。お気に入りの空間だ。

開館時の2003年は、現代美術への関心が高まりつつあった時で、横浜トリエンナーレ(2001年開始)、地中美術館(2004年開館)と同時代に始まっており、六本木にある国立新美術館とサントリー美術館(いずれも2007年開館)よりも先に開館している。東京には、既に、木場に東京現代美術館が開館していたが(1995年開館)、都心の高層ビルの上層階に現代美術館を設置し、展示作品をコンテンポラリー系に特化したという観点では、インパクト充分だった。

企画展の内容は様々だが、一つの特徴は、アーティストがインターナショナルで多岐に渡ることが挙げられるだろう。個人的な先入観かもしれないが、現代アートと聞いた時、どうしても欧米アーティストをイメージしてしまう。ところが、森美術館の企画展は欧米に偏る訳でもなく、欧米以外、特にアジアのアーティスト作品が目に付く。

下記は、2023年に実施されていた「森美術館開館20周年記念展:ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」で、展示されていた「20年の間に参加した作家」をマッピングしたものだが、非常に多岐に渡ることが分かるだろう。次に、個人的に名が知れていると考える作家を列記してみる。

Matthew Barney, Donald Judd, Alex Katz, Roy Lichtenstein, Bruce Nauman, Isamu Noguchi, Georgia O’Keeffe, Man Ray, Cy Twombly, Andy Warhol, Yves Klein, Francis Bacon, Tracey Emin, David Shrigley, David Hockney, Damien Hirst, Edvard Munch, Ai Wei Wei, Leandro Erlich, Salvador Dali, Joan Milo, Francisco Goya, 河原温, 鴻池朋子, 草間彌生, 森万里子, 森村泰昌, 奈良美智, 塩田千春, 杉本博司。

企画展の多くは、あるテーマを設定し展示を行っていることがほとんどだ。特定のアーティストに特化した展示は限られている。このあたりは、美術館のキュレーターの力量が試されるが、感心するのは、ポピュリズムを狙っている感じがしないことだろう。

企画展では、3年に一度、日本のアーティストの作品を集めて「六本木クロッシング」というタイトルの展示が行われる。3年に一度なのでトリエンナーレとなるが、各地で行われる芸術祭が六本木で行われている感覚で非常に気に入っている。2004年から2022年まで7回行われているが、目に留まる作家がいるはずであり、足を運んでいただきたい。

尚、2003年の開館当初は、写真撮影は禁止されていたが、スマホの登場とともに、多くの作品で写真撮影はできるようになっている。また、この場所だが、六本木ヒルズの展望台を見に来る人が立ち寄ることもあるためだろう、外国からの訪問客の姿が多い。

2023年の夏の訪問時は、館内を歩いている人の半分以上は外国からの訪問客に見えた。この点も、この美術館の特徴と言えるだろう。尚、以前は、展望台と森美術館のチケットはセットで別々に購入することはできなかったが、現在は、それぞれのチケットが別々となっている。

2003年以降多数回訪問。

基本情報

■ 名称:森美術館
■ 住所 : 東京都港区六本木6丁目10−1 六本木ヒルズ森タワー 53階
​■ ホームページ:
https://www.mori.art.museum/jp/

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