台北現代美術館 (Taipei, Taiwan)_歴史を感じる。

台湾、台北。赤レンガ造りの歴史を感じる建物と、展示されている現代芸術のコントラストに、この場所が辿ってきた歴史を想像する。

台湾、台北にある現代美術館。英語の名前MOCAは(Museum of Contemporary Art)で、現代美術作品を展示している。台北の中心にあるこの美術館は、二階建ての赤レンガ造りの建物。実は、1920年頃の日本統治時代に日本の小学校として建てられている。

建物の正面に立つと威風堂々とした佇まいに足が止まる。受付でチケットを購入し中に入ると、日本にある小学校のように廊下が続き、教室の部分に作品が展示されている。1920年頃に建てられたということだが、第二次世界大戦が終わると小学校は廃校となっている。その後、台北市庁舎として1993年まで使用されていたということであり、しっかりメンテナンスされてきたことが分かる。

さて、この美術館だが、驚かされたのは次の二点だ。まず、私が最初に訪れた時に展示されていた作品は、ほぼすべてが映像作品であったこと、もう一つは、訪問者のほとんどが若者だったということだ。

映像系の作品は、台湾の作家の作品だったが、海外の題材を扱っているものがあり、中には過激な表現を提示しているものも見受けられ、その作品を若者が椅子に座って鑑賞している姿には少なからず驚かされた。また、台湾のアーティストが台湾の人々だけの出演者のみで撮影したアーティスティックな作品もあり、刺激的、また、台湾のイメージからすると個人的には意外だった。

訪問者についてだが、作品を鑑賞している人は、若者がほとんどで、かつ、カップルが多いのは意外。おそらく、展示作品に絵画、インスタレーション系の作品がなかったことが関係しているはずだが、美術館の新しい姿を見ているような印象を受けた。この台北現代美術館は、2001年開館であり、おそらく所蔵作品も最近のものに集約されているため、歴史を振り返るというよりも、現在と未来だけを見据えた作品になっており、現代芸術を受け入れやすい若者が多いのだろうと推測する。

台湾は、町を歩いていると日本に居るのではないかと錯覚することがある。ファミリーマートがあり、セブンイレブンがあり(セブンイレブンの本家はアメリカだが)、サイゼリアがあり、大戸屋があり、日本のラーメンチェーン店がある。また、日本語を話す人も多く、日本語で話し掛けてくる人がいると、なぜ私が日本人だと分かったのだろう、と不思議に思うこともある。このあたりは、日本が台湾を占領していたのか統治していたのかによって見解が分かれると思うが、この台北現代美術館の建物が現在でも残っていること、そして、この建物で現代芸術作品が展示され、多くの人々が訪れている事実は驚きだった。

2023 年訪問

■ 臺北(台北)市立美術館

最後に台湾の美術館をもう一つ。臺北(台北)市立美術館を紹介しておく。名前は市立美術館だが、現代美術を中心とした展示が行われている美術館だ。1986年開設ということで、非常に歴史があり、1998年からは台北ビエンナーレが開催されている。

3階建ての建物は、古さも感じられるが広大なスペースを保持している。2023年訪問時には、ちょうど台北ビエンナーレが実施されていたが、映像、オブジェ、コンセプチュアル系など、多彩な作品が並び、所々に刺激的な作品が並んでいた。台北現代美術館と合わせ、台北を訪れた際は、是非足を運んでいただきたい。

2023年訪問

​基本情報

​■ 名称: 台北現代美術館 (台北当代芸術館)
■ 住所 :  No. 39, Chang’an W Rd, Datong District, Taipei City, Taiwan
​■ ホームページ:
https://www.mocataipei.org.tw/en

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